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第7回「歴史から現在(いま)を考える集い」(日本史研究会主催)

第7回「歴史から現在(いま)を考える集い」(日本史研究会主催) published on

明治維新期の政治変革-公議・公論の勃興とその意味-

◎会場 平安女学院大学京都キャンパス室町館4階412教室
  ※アクセス 市営地下鉄烏丸線丸太町駅
          市バス烏丸丸太町停留所  下車、徒歩5分


◎日時 2018年3月4日(日)14:00~17:30(受付開始13:30)
      事前申込不要・参加費無料。一般来聴歓迎


三谷博氏(跡見学園女子大学教授) 明治維新における「公論」の位置
奈良勝司
(立命館大学助教)    幕末の「公議」と対外問題
                        ―慶応元年一〇月の簾前評議を素材に―

 

 2018年は明治維新から150年目にあたり、顕彰活動の活発化が予想されます。しかし、私たちは「明治維新」をどれほど理解しているのでしょうか。「明治維新」を、単なる「イメージ」としてではなく、歴史事象として捉えるためには、当時の諸変革を歴史学的に検証する必要があります。そこで今回は、維新史研究をリードしてこられた三谷博氏と奈良勝司氏を講師にお迎えしました。お二人には、日本における議会制や民主主義の形成と深く関係する「公議」・「公論」概念を中心に、当時の政治変革の特質と、その歴史的意味についてご講演いただきます。そのうえで、現在の明治維新顕彰に関しても、歴史研究の立場から問題を提起し、考える場としていきたいと思います。


主催:日本史研究会
共催:「公議」研究会[科学研究費(基盤研究C)「幕末維新期における「公議」の研究」研究課題/領域番号17K03113研究代表者:奈良勝司]
お問い合わせ:日本史研究会075‐256‐9211
URL:http://www.nihonshiken.jp/

 

合同シンポジウム

合同シンポジウム published on

られた明治、られる明治明治150年を考える

 

日時:2018年3月3日(土)13:00〜17:30(開場12:30)

場所:一橋大学(西キャンパス)インテリジェントホール

http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/kunitachi.html

主催:日本史研究会・歴史科学協議会・歴史学研究会・歴史教育者協議会

 

報告者

 原田敬一 「「明治150年」史観・「明治の日」・改憲」

 石居人也 「歴史研究における「明治」をみる眼」

 関原正裕 「明治はどう教えられてきたか」

コメンテーター

 大江洋代 「明治と戦争の観点から」

 横山伊徳 「アジアの中の明治の観点から」

 平井和子 「明治とジェンダーの観点から」

 

参加費:500円

 

主旨文

 今から50年前の1968年、「明治百年」を政府式典で祝うという国家的イベントが催された。政府は、明治以来100年の歩みを、日本が急速な近代化や復興に「成功」した歴史として描き、政府式典を通じて、それを日本中に広めようとしていた。その時、歴史学界や心ある人たちは、1967年の紀元節復活(「建国記念の日」実施)に続く、歴史観の一方的な押し付けであるとして、それを批判し、声明を出し、反対集会を全国で開催した。

いうまでもなく明治以来の歴史には、戦争も迫害も過ちもあった。アジアや世界の民衆と対立し、矛盾を深めた側面もあった。まさに、戦前の日本が、「王政復古」以来、「皇国」日本の世界に対する優越性や正統性を喧伝し、軍人勅諭と教育勅語を支える基盤として顕彰し続けてきたのが、「明治維新」像だった。そのことが軍国日本の膨張政策を支え、世界と対立し、戦争を繰り返した結果、沖縄をはじめ国土の戦場化をもたらし、多大な被害の果てに1945年の敗戦を招いた。「明治百年」記念の国家的イベントは、そうした負の歴史を隠蔽し、戦後、人々が「戦争責任」「戦後責任」の名のもとにかさねてきた反省の重みや、正と負の歴史、光と陰を総合的に捉え、考えていこうとする努力を無視したものだった。むしろ、〈欧米列強と対峙しつつ成し遂げた明治維新〉というイメージを強化することにより、戦後の日本が対米従属下にあり、ヴェトナム戦争に政府や財界が協力していたという重大な事実から目をそらす効果すら狙っていた。

そのような仕掛けが、21世紀の今日、またしても繰り返されようとしている。「明治以降の歩みを次世代に遺す施策」として、史資料の収集・整理・保存・展示やデジタルアーカイブの整備が謳われる一方で、史資料の選別や廃棄がおこなわれ、「明治の精神に学び、更に飛躍する国に向けた施策」の名のもとに若者・女性・外国人の「活躍」ばかりに光があてられようとしている。こうした政府の描きたい歴史が人々に押し付けられるだけではない。150年を期に政府は、過去の特定の歴史事象を讃美することで、現代日本に新たに生起している切実な課題に正面から向き合わない/向き合わせないという情緒的な仕掛けをも駆使しているのである。

21世紀の世界は、多義的な文化を前提として展開するだろう。一国史的な見方は相対化されて久しい。むしろ、従来の歴史学では等閑視されてきた人々・集団・地域から歴史を構想して初めて、あるいは、地球規模の視野によって初めて、わたしたちは新しい世界へと飛び立つことが出来る。歴史学や歴史教育は現在、そうした新しい地平に立っている。豊かな歴史像の提示が人々を励まし、未来を見据えることになる。このような大きな役割を歴史学界は認識しつつ、一面的な歴史像に人々を絡めとろうとする政府の「明治150年」イベントに対峙していかねばならない。

 以上の現状認識に基づき、わたしたち四者協(日本史研究会、歴史学研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会)は、合同シンポジウム「創られた明治、創られる明治―明治150年を考える―」を企画した。ここでは、原田敬一、石居人也、そして、関原正裕の三氏に、100年と150年の歴史認識・歴史段階の相違、史学史上の把握、明治教育の変遷という多角的な観点から総合的に論じていただく。対して、明治と戦争の視点から大江洋代、アジアの中の明治という問題意識から横山伊徳、明治とジェンダーの観点に基づき平井和子の三氏からコメントをいただく。これによって、100年と150年の歴史状況の相違を意識しながら、権力によって明治イメージが創られ、利用される文脈と構造を、近現代ナショナリズム、新自由主義、グローバリズムの位相において検証することができるであろう。

若手会員制度および終身会員制度について

若手会員制度および終身会員制度について published on

2018年度より、若手会員及び終身会員の資格を導入する。

 

若手会員

ⅰ 満年齢30歳以下の会費を年間5000円とする。

ⅱ 満31歳になる年次から通常の会費を納入する。

ⅲ 割引会費適用に際しては、生年月日を証明出来る書類のコピー(学生証、保険証など)を提出する。

ⅳ 現在の会員についても、新会費制度導入年度(2018年度)からの会費を割り引く。その際(ⅲ)の手続きを行う。

 

終身会員

ⅰ 会員は、満年齢六五歳となる年次の会費納入に際して、「終身会員」会費の適用を選択することが出来る。

ⅱ 終身会員となるには、次の額の会費を一括納入する。

   65歳以上 会費10年分 85000円

   70歳以上 会費6年分 51000円

ⅲ 終身会員となるに際しては、生年月日を証明出来る書類のコピー(免許証、保険証など)を提出する。

ⅳ 終身会員の会費を納入後、退会をしても会費は返却しない。また会誌の発送の停止を希望する場合は、事務に申し出 る。

附則

・今後、通常会費の値上げがあった場合は、若手会員・終身会員の会費については、それに応じて見直しをする。その際、会費を納入済の終身会員については、差額等の請求は行わない。

・終身会員が納入した会費は、新たに別の会計をたて、年度ごとに相当額を取り崩す形で運用する。

・その他、新会費制度の導入に当たって必要となる事務上の措置については、総合委員会で検討し、運用する。

 

新会費制度の導入にあたって

2017年10月7日 日本史研究会総合委員会

この度の総会で、新しい会費制度導入を提案致します。提案にあたり、その導入理由について説明いたします。

既にこれまでの総会でもたびたび報告してきましたが、日本史研究会の会員は、長きにわたり減少を続けています。1999年度総会で報告した会員数3403人(発送数。個人会員は2703名)をピークに漸減を続け、2016年度総会報告では、2557人(発送数。個人会員は1991名)となりました。会員の減少傾向は今後も続くことが予想されます。また会員の年齢分布についても若手会員の構成比が低下しています。会員の減少は、学会としての規模の縮小であり、会費の減収に直結し、今後の会の運営、会誌の刊行などの会活動にさまざまな支障をもたらすことが予測されます。

こうした状況をふまえ総合委員会では、学会としての規模(会員数)をある程度維持しながら、今後の学会の活動・運営を円滑に進めていくための方策として、新しい会費制度の導入を検討し、この度の総会で提案することといたしました。

新制度は二つの柱から成り立っています。ひとつは、満年齢30歳以下の会費を割り引く若手会員制度、もうひとつは、満年齢65歳となる年次以降に一定額の会費を納入すれば終身会員の資格を得ることができる終身会員制度です。具体的な制度の内容は、「日本史研究会の新会費制度について(案)」にある通りです。

若手会員制度は、既に多くの学会で導入されています。大学院学費の高騰や就職状況の悪化などで、大学院生・大学院修了者の経済状況は困難を抱え、研究を続けていく上で大きな問題となっています。本会としても、月刊での会誌刊行を継続していく上で、若手研究者の投稿数を維持していくことは不可欠です。このような状況をふまえ、若手研究者を支援するという趣旨の下、若手会員制度を導入することといたしました。若手研究者が入会しやすい環境を整備することは、今後の会員数維持の観点からも意味のある措置と考えます。

一方の終身会員制度は、大学等の退職に伴い退会する会員に、今後も会にとどまってもらうことを目的としています。そのことで、年齢構成のボリュームゾーンである層の退会を減らし、会員数を少しでも維持したいと考えています。

もちろん今回の新会費制度の導入で、冒頭に記した問題がすべて解決できるわけではありません。中堅層の退会も比較的多く、これを食い止めるための方策、また多数にのぼる会費未納者への対策、これらについても引き続き総合委員会で検討していかなければなりません。

現在、本会の会財政は堅調に推移していますが、新会費制度の導入により若干の収入の減少が見込まれます。会活動への支障が出ない範囲で支出を抑え、バランスのとれた財政を維持していくことに努めたいと考えています。新会費制度導入について会員の皆さまのご理解をいただきたく存じます。

2018年3月17日 部落問題研究所例会

2018年3月17日 部落問題研究所例会 published on

「行き倒れ」に関する国際的比較地域史研究
    -移動する弱者の社会的救済・行政的対応の分析-

                                            
 公益社団法人部落問題研究所では2015~17年の3年間、科学研究補助費〈基盤研究(B)、研究代表者・藤本清二郎〉の
交付を受けて標記テーマの共同研究を進めてきました。
 本研究は、これまで進めてきた日本近世の身分制、近現代における部落問題の歴史的研究を、その基盤、あるいは背景
として存在した日本社会における貧困・救済・福祉や人々の移動という幅広い視点から捉える試みとして進めてきたもの
です。
  本研究では、各国・各地域に広範に見られる「行き倒れ」という社会現象を分析対象=分析視角として、近世・近現代の
日本社会で生起した諸現象の夫々の時点における特質を捉え、それを継続・変化の視点で把握するとともに、北東アジア
(清代中国・植民地期朝鮮)の歴史的展開と比較することによって、その特質を把握するという方法を追究しました。
同時に、近代イギリスの救貧体制との比較により、日本・北東アジア・イギリスという世界史的規模での比較考察を試み
ました。
 このような視角・方法で進めてきた共同研究の成果報告会を、下記の要領で開催します。
年度末の御多忙の中ですが、ご参加いただきますようご案内申し上げます。

         《記》
 日 時 2018年3月17日(土)
    午前10時~午後4時30分〔部分参加可・出入自由〕
  
会 場 機関紙会館5階会議室(日本史研究会事務所のある建物)
  地下鉄「烏丸丸太町」下車西へ徒歩5分
  京都市上京区 春帯町350 Tel.075-231-3048
  
報告と日程(*はレジュメ発表)
                                            
10時~  開会挨拶 プロジェクト代表者 藤本清二郎
  研究経過報告 西尾泰広(部落問題研究所)
  
10時10分~   第一部 17~19世紀の日本の「行き倒れ」と身分制
藤本清二郎  (部落問題研究所)  近世日本の行き倒れ-旅人と非人、その境界-
沢山美果子  (岡山大学)        松江藩領の捨て子と子連れ行き倒れ人
*町田 哲  (鳴門教育大学)    遍路の行き倒れからみる民衆世界
*塚田 孝  (大阪市立大学)    都市大坂の非人と行き倒れ           
*森下 徹  (山口大学)        萩城下の勧進について
茂木 陽一  (三重短期大学)    近世三重県域諸藩領における棄児と行倒人保護
J.ポーター  (東京外国語大学)  近世身分制の解体と貧民救済=統制
                  〈昼食・休憩〉
12時50分~ 第二部 20世紀の日本の医療・救護・相互扶助と「行き倒れ」
竹永 三男  (部落問題研究所)  近代日本の「行き倒れ」の歴史的研究の成果と課題
櫻澤 誠   (大阪教育大学)    沖縄出身者の「本土」への移動と相互扶助
廣川 和花  (専修大学)        近代日本の地域医療のなかの病者と行き倒れ
飯田 直樹  (大阪歴史博物館)  大阪府方面委員制度と行き倒れ
大杉 由香  (大東文化大学)    戦間期大都市における乳児・児童の生存をめぐる問題
                   ─大阪・東京を事例に─
                  〈小休憩〉
14時40分~ 第三部 イギリス・東北アジアの福祉・救護と「行き倒れ」
小室 輝久  (明治大学)        イギリスにおける行き倒れ
村上 正和  (新潟大学)        北京育嬰堂における行き倒れへの対応
金津日出美  (立命館大学)      植民地朝鮮における社会事業と「行旅病死者」
鈴木 忠義  (長野大学)        社会福祉学からみた行旅死亡人
全体にわたる質疑応答
閉会


主催・連絡先 公益社団法人部落問題研究所
〒606-8691 京都市左京区高野西開町34-11
mail:burakken@smile.ocn.ne.jp
Tel.075-721-6108  Fax:075-701-2723
後 援  大阪歴史科学協議会・日本史研究会

 

 

 

歴研シンポジウム

歴研シンポジウム published on

現代歴史学の新たな地平を求めて-『第4次 成果と課題』再考-

日時:2017年12月2日(土) 13時~17時30分(開場12時30分)

会場:早稲田大学戸山キャンパス 文学部 36号館681教室

東京メトロ東西線「早稲田」駅下車徒歩3分

https://www.waseda.jp/top/access/toyama-campus

 

司会・趣旨説明:中澤達哉

報告者:

大門正克 現代歴史学を串刺しにする

    -『第四次 成果と課題』の構想と発刊をふまえて-

松原宏之 文化からたどりなおす現代歴史学

    -ジェンダー、身分、政治経済-

若尾政希 いまなぜ歴史実践か

コメント:加藤陽子、仲松優子、浅田進史

 

資料代:500円(事前申込不要)

*終了後、懇親会を予定しております。

 

(開催主旨)

 2017年5月、歴史学研究会は『第4次 現代歴史学の成果と課題』を刊行した。15年ぶりとなる『成果と課題』は、以下の全3巻から構成される。第1巻「新自由主義時代の歴史学」は、この15年間の歴史認識の変化を集約し、歴史学の方法的可能性を展望するだけでなく、その課題と隘路をも示したことに特徴があるだろう。第2巻「世界史像の再構成」は、1990年代以来、日本の歴史学界を席巻してきた構築主義を克服しつつ、その最良の遺産を継承しながら新たな動態的歴史像を模索した。第3巻「歴史実践の現在」は、史料・方法・叙述のほか、研究・教育を含む一連の社会的営為を「歴史実践」と考え、いまなぜ歴史実践が必要なのかを問いつづけた。

 さて、それぞれに個性的な3巻を総合的に鳥瞰するとき、その先にいったいなにが見えてくるのだろうか。私たち歴史学研究会委員会は、これら3巻の向こうに広がる地平を展望すべく、歴史学研究会シンポジウム「現代歴史学の新たな地平を求めて―『第4次 成果と課題』再考―」を企画した。このとき、導きの糸となるのは、独自の視点から3巻を貫通して把握しようとする以下の三報告である。大門正克は、『成果と課題』編集委員の立場から、3巻を串刺しにする総括的な報告を行う。松原宏之は、第1巻の自著「カルチュラル・ターン以後の歴史学と叙述」のなかで触れることができなかった対象、たとえばジェンダーについてどうみるかを皮切りに、認識論的かつ方法論的議論をさらに拡張していく。最後に、若尾政希は「いまなぜ歴史実践なのか」という問いを軸に、第1巻・第2巻で表明されつつある歴史学の新たな展開と第3巻の歴史実践論とがいったいどのようにかかわり、どう異なるのか、そして、どのように結びつくのかを論じる。

 これらの三報告に対して、全3巻を踏まえた近現代史研究の視点から加藤陽子、近世国制・身分・ジェンダーの観点から仲松優子、若手研究者問題にも取り組む浅田進史の三氏にコメントをいただく。これによって、歴史認識・歴史叙述・世界史像・歴史実践を総合的に論じる「歴史学の場」をつくることができるだろう。

第1回禁裏・公家文化講座

第1回禁裏・公家文化講座 published on

<講座のスケジュール>
第1回禁裏・公家文化講座第1講
講師:藤原重雄(東京大学史料編纂所准教授)「史料編纂所所蔵の14世紀公家日記」
日時:2017年11月26日(日)13時30分~15時 開場:13時
会場:京都府立京都学・歴彩館小ホール
参加費:500円(資料代として)

主催:京都府立京都学・歴彩館 科学研究費補助金(基盤研究(s))「天皇家・公家文庫収蔵資料の高度利用化と日本目録学の進展」(研究代表者 東京大学史料編纂所教授 田島 公)
共催:東京大学史料編纂所
後援:公益財団法人陽明文庫 科学研究費補助金(基盤研究(A))「摂関家伝来史料群の研究資源化と伝統的公家文化の総合的研究」(研究代表者 東京大学史料編纂所教授 尾上陽介)

文化財保護法の改定に対し、より慎重な議論を求める声明

文化財保護法の改定に対し、より慎重な議論を求める声明 published on

 私たちは文化財保護法の改定に対し、より慎重な議論を強く求めます。

 2017年8月31日、文化庁のホームページ上に「文化審議会文化財分科会企画調査会中間まとめ」が公表され、現在、意見募集(パブリックコメント)が行われています。これは、5月19 日に文部科学大臣から、文化財の確実な継承に向け、未来に先んじて必要な施策を講じるための文化財保護制度の在り方について包括的な検討を求める諮問が文化審議会に対して行われ(「これからの文化財の保存と活用の在り方について」)、今年度中の文化財保護法の改定を視野に、文化審議会文化財分科会企画調査会が検討してきた答申の内容をとりまとめたものです。

 この「中間まとめ」の、背景(Ⅰ)と基本的な考え方(Ⅱ)において掲げられている現状認識と理念は、数次の大規模災害を日本社会が経験したあと、景観も含めた文化財等が一瞬にして失われかねないこと、さらに、大規模災害がなくとも、日々、不可逆的に文化財等失われていることを痛感しているわれわれと共通のもので、大いに共感するところです。

 また、個別の論点についても、単一もしくは複数の自治体により、未指定文化財も視野に入れた「地域における基本計画」の策定(Ⅲ1(2))や、「ノウハウを持った支援者」の積極的な位置づけ(Ⅲ2(1))、「文化財のデジタルアーカイブ」の必要性(Ⅳ(4))の提起等は、その方向性については共有できるものと考えます。

 特に、最後に「中長期的観点から検討すべき課題」として挙げられている、文化財行政に関わる人材や学芸員等の一層の育成、大規模災害発生時の文化財レスキュー等については、具体的方策の検討に早急に着手すべきで、課題が指摘されたこと自体がその出発点としてきわめて重要であると考えます。

このように、「中間まとめ」には継続的に議論されるべき、積極的な論点が多く提出されています。

 しかし、他方で、今回の動きの発端となった文部科学大臣の諮問は、2016年3月30日に「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が示した、「明日の日本を支える観光ビジョン-世界が訪れたくなる日本へ」を受けたものです。このビジョンでは、「観光は、真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱である」との認識の下、「『文化財』を、『保存優先』から観光客目線での『理解促進』、そして『活用』-『とっておいた文化財』を『とっておきの文化財』に-」が掲げられ、「2020年までに、文化財を核とする観光拠点を全国で200整備、わかりやすい多言語解説など1000事業を展開し、集中的に支援を強化」することがうたわれています。

 つまり、文化審議会文化財分科会企画調査会が検討しているのは、文化財を観光資源として活用し、前記の数値目標を達成するための制度的枠組みを整備するための法改定です。今回の「中間まとめ」のこの方向は、儲かる文化財とそうでない文化財という価値序列を創出しかねず、地域の文化・教育にとって特に重要な文化財であっても、短期的かつ金銭的な利益を生まなければ顧みられなくなる恐れがあります。

 これは、国民の文化的向上と世界文化の進歩に貢献することを目的として文化財を保護するために策定された文化財保護法や、本年6月に改定された文化芸術振興基本法の理念と乖離するものであるといわざるを得ません。

 今、日本は都市への人口集中と地方の衰退が著しく、地域に残されてきた文化財は深刻な危機に直面しています。地域が抱える事情は様々で、そのような危機を真に解決するには、どのような施策が必要とされているのか、個々の地域の状況に即してあらゆる可能性を検討することが必要です。その意味では、上記で方向性を共有できるとした「地域における基本計画」の策定(Ⅲ1(2))や、「ノウハウを持った支援者」の積極的な位置づけ(Ⅲ2(1))などについても、人材や資金の余裕が全くない地方の小規模自治体において、その実施が危惧されるところです。基本計画から漏れる文化財に対する目配りや、計画を実際に支える学芸員等の立場と活躍の場の保障、さらに地域格差が広がらないような施策などが検討されなければ、文化財の保存と活用を巡る状況が、今以上に困難な事態に立ち至るのではないでしょうか。

 また、文化財の保存と活用について、従来から重要な役割を果たしてきた各種博物館に関しても、UNESCOの「ミュージアムとコレクションの保存活用、その多様性と社会における役割に関する勧告」(2015年11月20日)での「加盟各国は、ミュージアムの主要機能は、社会にとって何よりも重要なものであり、単なる財政的価値に換算しえないことを認識すべきである」という指摘がより深く認識されるべきものと考えます。

 先人が残してきた文化財を公共財ととらえ、今に生きる私たちが享受し、未来に継承していくため、また、地域の住民がその地域の文化財を自ら学ぶことの楽しさを知るために、何をなすべきなのか。その答えは、我が国の現状に目を向け、直面する課題を丹念に洗い出す作業なしに見いだせません。これが検討の出発点であり、文化審議会文化財分科会企画調査会がまず果たすべき役割だと考えます。大臣諮問から「中間まとめ」が提出されるまでの期間はわずか3ヶ月であり、十分な議論を尽くされたとは言えず、拙速に過ぎます。

 「中間まとめ」で示された積極的な論点が十全に生かされるためにも、結論ありきの議論ではなく、国民の文化的向上と世界文化の進歩に貢献することを目的とした文化財保護のため、長期的視野に立った十分な議論を尽くすことを求めます。

 また、全国民に、今回のパブリックコメントを含め、あらゆる機会に、あらゆる場所で、議論を行い、今回の文化財保護法改定について意見表明を行うよう求めます。これは国と研究者のみに関わるものではなく、わが国の将来に重要かつ長期的な影響を与える課題です。次世代に何を残すか、が今問われています。

 

 2017年10月6日

 

日 本 歴 史 学 協 会

地 方 史 研 究 協 議 会

歴 史 教 育 者 協 議 会

立 正 大 学 史 学 会

内 陸 ア ジ ア 史 学 会

信 濃 史 学 会

東 北 史 学 会

ジ ェ ン ダ ー 史 学 会

京 都 民 科 歴 史 部 会

広 島 西 洋 史 学 研 究 会

東 京 歴 史 科 学 研 究 会

広 島 史 学 研 究 会

日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会

中 国 四 国 歴 史 学 地 理 学 協 会

東 海 大 学 史 学 会

歴 史 学 研 究 会

秋 田 近 代 史 研 究 会

日 本 史 研 究 会

交 通 史 学 会

文 化 財 保 存 全 国 協 議 会

総 合 女 性 史 学 会

大 阪 歴 史 学 会

関 東 近 世 史 研 究 会

日 本 風 俗 史 学 会

千 葉 歴 史 学 会

歴 史 科 学 協 議 会

専 修 大 学 歴 史 学 会

             (追加)

歴 史 資 料 ネ ッ ト ワ ー ク

 

   追記 2017年10月12日付で賛同学協会が増えました。28学協会による共同声明となりました。

 2017年10月12日                     日本歴史学協会

 

 

【文化財保護法改正についてのパブリックコメントのお願い】

【文化財保護法改正についてのパブリックコメントのお願い】 published on

現在、文化財保護法改正の動きが急ピッチで進んでおります。8月31日に「中間まとめ」が出され、パブリックコメントが開始されました。

安倍内閣の「文化経済戦略」に沿った改正で、指定文化財を観光資源として活用することなどを目指していますが、これまでの文化財保護のあり方に変更を迫るもので、大きな問題をはらんでいます。日本史研究会会員・各部会員の皆さまにも、パブリックコメントに参加いただきますよう、お願い致します。

2017年8月31日に「文化審議会文化財分科会企画調査会中間まとめ」
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/2017083101.html

8月31日から9月29日まで、意見募集(パブリックコメント)が行われています(「文化審議会文化財分科会企画調査会中間まとめに関する意見募集」)。パブコメでたくさんの意見が集まることが重要で、パブコメを受けて、9月~10月に企画調査会が開催され、最終まとめを提出。来年初めの通常国会に文化財保護法改正が提出される見込みです。
http://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/public_comment/bunkazai_ikenboshu.htm
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2017年日本史研究会大会・総会

2017年日本史研究会大会・総会 published on

期 日 2017年10月7日(土)・8日(日)
会 場 京都学園大学 京都太秦キャンパス(京都市右京区山ノ内五反田町)


大会テーマ 統合原理と政治・社会・文化


10月7日(土)
 総 会 9:00~11:30(N301)
 個別報告 13:00~17:10
  [第一会場](みらいホール)
   13:00~14:10 安藤 弥 宗教一揆論という課題
   14:30~15:40 佐藤 雄基 文書史からみた鎌倉幕府と北条氏
   16:00~17:10 川尻 秋生 九世紀における唐制受容の一様相 ─ 中世文書様式成立の史的前提 ─
  [第二会場](N404AB)
   13:00~14:10 安岡 健一 「老い」に集団でむきあうということ ─ 戦後日本の地域社会を事例に ─
   14:30~15:40 川合 大輔 1920年代に高揚した社会哲学に関する言論の思想史的文脈
   16:00~17:10 山本 英貴 岡山藩の自分仕置と対幕藩交渉 ─ 江本竹蔵一件を素材として ─


10月8日(日)共同研究報告
 [第一会場](N404AB)
  古代史部会 報 告 9:30~11:00 討 論 13:30~15:10
   大高 広和 古代国家の対外的諸関係
  中世史部会 報 告 11:10~12:40 討 論 15:30~17:30
   長村 祥知 中世前期の在京武力と公武権力
 [第二会場](N303AB)
  近世史部会 報 告 10:30~15:00 討 論 15:15~17:00
   石津 裕之 神社・門跡・社僧─近世宮寺における神仏関係─
   山田 淳平 近世武家雅楽の普及と展開
 [第三会場](N302AB)
  近現代史部会 報告 10:00~12:10 コメント・討論 14:00~17:00
   久保田 裕次 満蒙政策と政友会─大正期における野田卯太郎と山本条太郎─
   宮地 忠彦 警察の「大正民主主義」再考─「立憲法治ノ警察」と「皇国警察」の間
   コメント 季武 嘉也
懇親会 18:00~(THE COMMONS G)

会場整理費  会員 1000円 非会員 1500円 学部生 500円

(会場案内)https://www.kyotogakuen.ac.jp/outline/campus/uzumasa/

本年の大会は無事終了いたしました。ありがとうございました。

【吉見裁判不当判決抗議シンポジウム】 吉見裁判が明らかにしたこと

【吉見裁判不当判決抗議シンポジウム】 吉見裁判が明らかにしたこと published on

*開催趣旨
吉見裁判では、地裁・高裁・最高裁と、論理的に破綻した不当な判決が出されました。これらの判決は、日本の司法の危機的な状況を白日の下にさらしました。また、4年間にわたる裁判闘争を通じて、私たちは被告や被告側証人の「慰安婦」制度は性奴隷制度ではないという謬見を完全に論破しました。
このシンポジウムでは、判決や司法そのものの問題性を論じるとともに、吉見裁判が進展させてきた「慰安婦」制度研究の成果を共有したいと思います。

 *プログラム
吉見義明(中央大学名誉教授)「裁判の成果と歴史学」
吉見裁判弁護団「判決の不当性」(仮)
阿部浩己(神奈川大学教授)「国際法は日本軍「慰安婦」制度をどう見ているのか」

*日時:2017年10月1日(日)14時~17時
*会場:中央大学駿河台記念館280教室
(東京都千代田区神田駿河台3-11-5)
http://www.chuo-u.ac.jp/access/surugadai/
*資料代:500円

*主催:YOSHIMI裁判いっしょにアクション
*後援:歴史科学協議会、歴史学研究会、日本史研究会、歴史教育者協議会、東京歴史科学研究会