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第26回 史料保存利用問題シンポジウム東日本大震災10年と史料保存―その取組と未来への継承―

第26回 史料保存利用問題シンポジウム東日本大震災10年と史料保存―その取組と未来への継承― published on

第26回史料保存利用問題シンポジウム開催要領・プログラム 【シンポジウムポスター】

日時 2021年6月26日(土)13:30~17:30
オンライン開催<参加費無料300名まで先着 順 受付>
参加登録用ウェブサイト https://forms.gle/EieasBhbUBme6YFL6
主催 日本歴史学協会/日本学術会議史学委員会/ 日本学術会議史学委員会歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会
後援 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会/日本アーカイブズ学会
テーマ 東日本大震災 10 年と史料保存―その取組と未来への継承
趣旨
 東日本大震災が発生したのは、今から10年前の2011年3月11日のことであった。千年に一度といわれる大地震と大津波、加えて福島第一原子力発電所の爆発事故による放射能災害が重なり、未曽有の大災害になった。さらに、その後も各地で大地震が続発し、地震のみならず火山噴火や豪雨による災害等、大きな災害に襲われ続けている。そして、この 1 年余にわたり新型コロナウィルス感染症が大流行して いるが、このコロナ禍のような疾病災害にも、私たちは向き合わなければならないのである。

 こうした現状を踏まえると、緊急時における速やかな史料の救済・保全に向けた対応はもちろん、大災害の続発を前提に 普段からの史料の保存・管理の取組が重要になってくる。近年では、そうした認識が深まるとともに、保全・保存の対象も古文書・公文書はもちろん、未指定も含む文化財全般へと広がり、市民ボランティアの参加が進むなど、被災史料に限らず広く歴史資料・文化財等の保全・保存に対する理解と活動が深化しているといえる。このような動向は、1995年の阪神淡路大震災以来の蓄積を踏まえつつ、とりわけ東日本大震災以降に、より顕著になってきたといえるのではないか。

 こうした状況認識のもと、「続発する大災害から史料を守る―現状と課題 ―」をテーマに開催した昨年度の第25回シンポジウムでは、歴史資料・文化財等の救済・保全活動に関わる行政・史資料ネット・ボランティア等の相互の役割、連携、限界といった課題が指摘されるとともに、次世代への継承の担い手についても議論になった。

 そこで、本年度のシンポジウムでは、昨年度のシンポジウムで示された課題を受けつつ、東日本大震災から10年という機会に 、原発災害への対応も含め、この10年間の被災地における歴史資料や文化財等の救済・保存への取組を振り返り、課題や問題点を確認し、歴史資料や文化財等を未来へ継承するための活動を展望することにしたい。

 なお、特別報告として、国立公文書館によるアーキビスト認証制度をめぐり、第1回アーキビスト認証の経緯や今後の取組について報告をお願いした。

報告
①佐藤 大介氏 (東北大学災害科学国際研究所准教授)
  「被災史料・被災地と向き合い続けて考えたこと―宮城での活動の経験から―」
②大和田侑希氏 (福島県富岡町住民課係長)
  「歴史資料保存・活用に関する行政職員が担うべき役割と可能性」
③阿部 浩一氏 (福島大学教授)
  「ふくしまの資料保全活動の10年を未来につなげる」
コメント 芳賀  満氏(日本学術会議会員 東北大学教授)
     佐々木和子氏(神戸大学大学院人文学研究科学術研究員)
特別報告
  伊藤 一晴氏(国立公文書館 上席公文書専門官)
  「令和2 年度アーキビスト認証の実施結果と令和 3 年度の取組について」

プログラム
13:30~13:35 開会挨拶:若尾 政希(日本学術会議会員 一橋大学教授)
13:35~13:40 趣旨説明:佐藤 孝之(日本歴史学協会史料保存利用特別委員会委員長)
13:40~14:10 第1報告:佐藤 大介(東北大学災害科学国際研究所准教授)
           「被災史料・被災地と向き合い続けて考えたこと―宮城での活動の経験から―」
14:10~15:40 第2報告:大和田侑希(福島県富岡町住民課係長)
           「歴史資料保存・活用に関する行政職員が担うべき役割と可能性」
14:40~15:10 第3報告:阿部 浩一(福島大学教授)
           「ふくしまの資料保全活動の10 年を未来につなげる」
15:10~15:20 休憩
15:20~15:50 特別報告:伊藤 一晴(国立公文書館上席公文書専門官)
           「令和2年度アーキビスト認証の実施結果と令和3年度の取組について」
            司会:新井 浩文(日本歴史学協会国立公文書館特別委員会幹事)
15:50~ 16:10 コメント:芳賀  満(日本学術会議会員 東北大学教授)
             佐々木和子(神戸大学大学院人文学研究科研究員)
16: 10~17: 25 パネルディスカッション
   パネリスト:佐藤 大介 大和田侑希 阿部 浩一
      司会:大友 一雄(日本学術会議連携会員 日本歴史学協会史料保存利用特別委員会幹事)
         熊本 史雄(日本歴史学協会国立公文書館特別委員会委員長 駒澤大学教授)
17:25~17:30 閉会挨拶:中野達哉(日本歴史学協会委員長 駒澤大学教授)

日本史研究704号(2021年4月)

日本史研究704号(2021年4月) published on

研  究

近世天皇家の葬制の変容と泉涌寺
  ―女院・皇子女死去時の対応を中心に―
佐藤一希

研究ノート

天正初期上杉・武田氏間和睦交渉再考 松島裕大

2020年度日本史研究会大会報告批判

全体会シンポジウム――高埜利彦・川口暁弘
共同研究報告―古代史部会(倉本一宏)/中世史部会(鎌倉佐保)/近世史部会(鶴田 啓)/近現代史部会(松沢裕作)

書  評

西本昌弘著『空海と弘仁皇帝の時代』 駒井 匠
山田康弘著『足利義輝・義昭―天下諸侍、御主に候―』 水野 嶺

要 望 書

「高輪築堤」の保存を求める要望書

部会・委員会ニュース

Job Opening Nagoya U (Modern Japanese or East Asian History)

Job Opening Nagoya U (Modern Japanese or East Asian History) published on

Nagoya University

Graduate School of Humanities

Japan-in-Asia Cultural Studies Program (JACS)

Global 30 International Programs

Nagoya, Japan

http://en.nagoya-u.ac.jp/employment/

 

The Graduate School of Humanities invites applications for a full-time, tenured position as Associate Professor in Modern Japanese or East Asian History. The successful candidate will be teaching in English in the Japan-in-Asia Cultural Studies Program (JACS), one of the Nagoya University Global 30 International Programs.

 We seek a candidate who has shown excellence in research and teaching in Modern Japanese or East Asian History. The G30 Program is known for its small class sizes, motivated students, and international atmosphere. The standard teaching load is up to eight courses per year. A course is generally comprised of 15 weekly lectures, each of which runs 90 minutes. The successful candidate will be expected to supervise students, provide them with guidance and engage in the admissions process. She or he should also contribute to expanding the international research profile of the Graduate School of Huamanities.

Qualifications:

  1. A doctoral degree in Modern Japanese or East Asian History.
  2. A demonstrated record of research excellence in Modern Japanese or East Asian History.
  3. A proven record of teaching. The post is open to anyone specializing in any subfield of Modern Japanese or East Asian History. We particularly welcome applicants who can teach courses in Research Methods.
  4. A demonstrated ability to supervise students at the undergraduate and graduate levels.
  5. Willingness to participate in the International Programs of the university, including but not limited to teaching courses to Japanese students and some administrative duties.
  6. Strong interpersonal skills and evidence of success working in a multicultural environment.
  7. Sufficient Japanese proficiency for general administrative tasks is required.

Number of positions: One

Terms of Employment: No term limit until the age of 65

Starting date: October 1, 2021 or as soon as possible thereafter

Compensation: Approximately JPY5,000,000-10,000,000/year (all inclusive). Salary will depend on qualifications and experience. Taxes and insurance will be withheld from the annual salary. 

Selection Procedure:

  1. Initial screening based on submitted documents (see below).
  2. Successful candidates will be invited to a personal interview either on-site or remote. In addition to the interview, a short demonstration lecture will be requested.

Application Documents:

  1. Cover letter
  2. Full curriculum vitae
  3. List of research achievements (including presentations, publications, grants, awards)
  4. List of courses taught (undergraduate and graduate)  
  5. Digital copy of PhD diploma
  6. Two letters of recommendation (to be submitted separately by the recommender)

Candidates who pass the initial screening will be asked to submit the following:

  1. Digital copies of up to 5 major publications
  2. Summary of research experience (1-2 pages)
  3. Proposal of future research plans (1-2 page)
  4. Statement of teaching philosophy, addressing the applicant’s ability to integrate creative thinking and global perspectives into their courses (1-2 pages)

Application Procedure:                                                                                                                

All required documents, except the recommendation letters, should be combined in a single PDF and be submitted via email to Professor SAITŌ Fumitoshi, Dean of the Graduate School of Humanities: hum_sou@adm.nagoya-u.ac.jp . Indicate “JACS Associate Professor Position” in the subject line of the email.

   Each of the recommendation letters must be submitted by the recommender via email to Professor SAITŌ Fumitoshi, Dean of the Graduate School of Humanities: hum_sou@adm.nagoya-u.ac.jp . Indicate “Recommendation Letter (candidate’s name): JACS Associate Professor Position” in the subject line of the email.

   Please note that incomplete applications will not be considered.

   Nagoya University is an equal opportunity employer. Applications from members of groups underrepresented in higher education are strongly encouraged.

http://en.nagoya-u.ac.jp/about_nu/declaration/positive/index.html

Application deadline: May 9, 2021

Contact: Dr. Kristina Iwata-Weickgenannt, Japan-in-Asia Cultural Studies Program, Graduate School of Humanities, Nagoya University. Email: kristina.iwata@nagoya-u.jp

 

For more information see:

http://www.nagoya-u.ac.jp/en/

http://www.hum.nagoya-u.ac.jp/en/g30/japan-in-asia-program/

https://admissions.g30.nagoya-u.ac.jp/undergraduate/asia_cultural/

日本史研究703号(2021年3月)

日本史研究703号(2021年3月) published on

2020年度日本史研究会大会特集号

大会テーマ 「転換期」における日本史研究

共同研究報告
古代史部会

平安貴族社会における文化的規範意識の変容 樋笠逸人

中世史部会

鎌倉期の荘園制と複合的荘域 前田英之

近世史部会

「長崎御番」と幕藩関係
  ―綱吉政権期を中心に―
松尾晋一
宝永正徳期の幕薩琉関係 木土博成

近現代史部会

戦前日本の漁業発展と水産資源
  ―トロール・機船底曳網漁業を中心に―
山口明日香
近代日本における資源利用の相克と地域社会
  ―温泉資源を事例に―
高柳友彦
コメント 中西 聡


部会・会活動・委員会ニュース

新たな装いで現れた日本軍「慰安婦」否定論を批判する日本の研究者・アクティビストの緊急声明

新たな装いで現れた日本軍「慰安婦」否定論を批判する日本の研究者・アクティビストの緊急声明 published on

 2020年12月、ハーバード大学ロースクール教授のジョン・マーク・ラムザイヤー氏が書いた論文「太平洋戦争における性行為契約」が、国際的な学術誌『インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス』(IRLE)のオンライン版に掲載されました。2021年1月31日に、『産経新聞』がこの論文を「「慰安婦=性奴隷」説否定」との見出しで大きくとりあげたことをきっかけに、ラムザイヤー氏とその主張が日本、韓国そして世界で一挙に注目を集めることになりました。
 タイトルとは異なり、この論文は太平洋戦争より前に日本や朝鮮で展開されていた公娼制度に多くの紙幅を割いています。実質的な人身売買だった芸娼妓契約について、ゲーム理論を単純に当てはめ、金額や期間などの条件で、業者と芸娼妓の二者間の思惑が合致した結果であるかのように解釈しています。ラムザイヤー氏は、この解釈をそのまま日本軍「慰安婦」制度に応用しました。戦場のリスクを反映して金額や期間が変わった程度で、基本的には同じように朝鮮人「慰安婦」と業者のあいだで合意された契約関係として理解できると主張したのです。しかも、その議論とワンセットのものとして、朝鮮内の募集業者が女性をだましたことはあっても、政府や軍には問題がなかったと、日本の国家責任を否認する主張も展開しました。
 つまり、この論文は、「慰安婦」を公娼と同一視したうえで、公娼は人身売買されていたのではなく、業者と利害合致のうえで契約を結んだことにして、「慰安婦」被害と日本の責任をなかったことにしようとしているのです。
 私たちは、この論文が専門家の査読をすり抜けて学術誌に掲載されたことに、驚きを禁じ得ません。おそらく日本近代史の専門家によるチェックを受けていなかったのだと思われますが、先行研究が無視されているだけでなく、多くの日本語文献が参照されているわりに、その扱いが恣意的であるうえに、肝心の箇所では根拠が提示されずに主張だけが展開されているという問題があります。以下、主要な問題点を3つに分けて指摘します。
①まず日本軍「慰安婦」制度は公娼制度と深く関係してはいますが、同じではありません。公娼制度とは異なり、慰安所は日本軍が自ら指示・命令して設置・管理し、「慰安婦」も日本軍が直接、または指示・命令して徴募しました。娼妓や芸妓・酌婦だった女性たちが「慰安婦」にさせられた事例は、主に日本人の場合に一部見られたものの、多くの女性は、公娼制度とは関係なく、契約書もないままに、詐欺や暴力や人身売買で「慰安婦」にさせられたことが、膨大な研究から明らかになっています。にもかかわらず、ラムザイヤー氏は日本軍の主体的な関与を示す数々の史料の存在を無視しました。
 何よりも氏は、自らの論点にとって必要不可欠であるはずの業者と朝鮮人「慰安婦」の契約書を1点も示していません。こうした根拠不在の主張だけでなく、随所で史料のなかから自説に都合のよい部分のみを使用しています。たとえば、この論文(6頁)で用いられている米戦時情報局の文書(1944年)には、703人の朝鮮人「慰安婦」が、どのような仕事をさせられるかも知らされずに数百円で誘拐ないし人身売買によりビルマに連れて行かれたことを示す記述がありますが、氏はこれを全く無視しています。
②近代日本の公娼制度の理解にも大きな問題があります。公娼制度下での芸娼妓契約が、実態としては人身売買であり、廃業の自由もなかったことは、既に多数の先行研究と史料で示されています。しかしラムザイヤー氏は、ここでも文献の恣意的使用によって、あるいは根拠も示さずに、娼妓やからゆきさんを自由な契約主体のように論じています。たとえば、この論文(4頁)では『サンダカン八番娼館』を参照し、「おサキさん」が兄によって業者に売られたことについて、業者はだまそうとしていなかったとか、彼女が10歳でも仕事の内容は理解していたなどと主張しています。しかしラムザイヤー氏は、彼女が親方に「嘘つき!」と抗議したことなど、同書に氏の主張をくつがえす内容が記されていることを無視しています。
③この論文は、そもそも女性の人権という観点や、女性たちを束縛していた家父長制の権力という観点が欠落しています。女性たちの居住、外出、廃業の自由や、性行為を拒否する自由などが欠如していたという意味で、日本軍「慰安婦」制度は、そして公娼制度も性奴隷制だったという研究蓄積がありますが、そのことが無視されています。法と経済の重なる領域を扱う学術誌の論文であるにもかかわらず、当時の国内法(刑法)、国際法(人道に対する罪、奴隷条約、ハーグ陸戦条約、強制労働条約、女性・児童売買禁止条約等)に違反する行為について真摯な検討が加えられた形跡もありません。
 以上の理由から、私たちはラムザイヤー氏のこの論文に学術的価値を認めることができません。
 それだけではなく、私たちはこの論文の波及効果にも深刻な懸念をもっています。日本の国家責任を全て免除したうえで、末端の業者と当事者女性の二者関係だけで説明しているからこそ、この論文は、一研究者の著述であることをこえて、日本の加害責任を否定したいと欲している人々に歓迎されました。「慰安婦は公娼だった」「慰安婦は自発的な売春婦」「慰安婦は高収入」「慰安婦は性奴隷ではない」……。これらは、1990年代後半から現在まで、日本や韓国などの「慰安婦」被害否定論者たちによって繰り返し主張されてきた言説です。今回、米国の著名大学の日本通の学者が、同様の主張を英字誌に出したことで、その権威を利用して否定論が新たな装いで再び勢いづくことになりました。それとともに、この論文の主張に対する批判を「反日」などと言って攻撃するなど、「嫌韓」や排外主義に根ざした動きが日本社会で再活発化しています。私たちは、このことを深く憂慮しています。
 以上を踏まえ、私たちはまずIRLEに対し、この論文をしかるべき査読体制によって再審査したうえで、掲載を撤回するよう求めます。また、日本で再び広められてしまった否定論に対して、私たちは事実と歴史的正義にもとづき対抗していきます。今回の否定論は、日本、韓国、北米など、国境をこえて展開しています。であればこそ私たちは、新たな装いで現れた日本軍「慰安婦」否定論に、国境と言語をこえた連帯によって対処していきたいと考えています。

2021年3月10日
Fight for Justice(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)
歴史学研究会
歴史科学協議会
歴史教育者協議会

2021年3月13日
日本史研究会

「高輪築堤」の保存を求める要望書

「高輪築堤」の保存を求める要望書 published on

関係機関各位

 東京都港区における東日本旅客鉄道会社(以下JR東日本)の「品川開発プロジェクト」にともなう発掘調査によって、1872年(明治5)に開業した日本最初の鉄道の遺構である「高輪築堤」が発見されたという情報は、全国的に大きなインパクトをもって伝えられました。

 遺構の保存等については、発見時に所在地にあたる港区教育委員会がその重要性に基づき、事業者であるJR東日本に対して現状保存を要請したと伺っております。その後、有識者と関係者による「調査保存等検討委員会」が立ち上がり、保存をめぐり様々な議論が交わされているとも聞き及んでおります。それに並行して、産業遺産学会、日本考古学協会(埋蔵文化財保護対策委員会)が遺構の保存を求める要望書を提出し、別途、鉄道史学会・都市史学会・首都圏形成史研究会・地方史研究協議会・交通史学会も連名で、遺構の保存や公開を求める要望書を提出するという状況となっています。このような諸学会の動向からも、「高輪築堤」の保存を願う声は日増しに広がってきていることがわかります。

 わが国の歴史学系学会の連合組織である日本歴史学協会は、諸学会のこうした要望を全面的に支持することを表明するとともに、新たに、賛同学会と連名で「高輪築堤」の保存を求める要望書を出すことにしました。
 まず、「高輪築堤」の歴史的評価については、日本の近代化を牽引した創業期の鉄道の姿を目の当たりにすることができる貴重な遺構であること、産業史・鉄道史・交通史などの分野に留まらず、日本近代史を象徴する、重要な歴史遺産であるということに異論はないものと思われます。工学・技術史的な側面では、イギリス人技師の指導による西洋の鉄道建築の技術に、日本で受け継がれてきた手法が融合した、ハイブリットな構造物であるという特徴が認められます。とくに、第7橋梁部と周辺の水路跡については、その希少性に加えて、保存状況の良好さも評価されており、遺構全体の中でも重要な部分に位置づけられています。このような学術的価値の高さという点から判断すると、「高輪築堤」の現状保存を確実に行い、すみやかに国史跡の指定にむけた対応を取る必要があります。

 「高輪築堤」に対する注目は非常に高く、遺構の行く末や、保存の対応の方向性次第によっては、大きな反響が巻き起こることも予想されます。わたしたちは、「高輪築堤」遺構の保存・活用と地域開発との共存が、関係当事者間での協議や調整によって解決され、現実となることを願い、以下の点を要望いたします。

(1)開発プロジェクトの事業主体であるJR東日本に対しては、国有財産を日本国有
鉄道から継承した事業者としての立場から、「高輪築堤」遺構が国民共有の重要な財産で
あることを十分に認識すること

(2)「高輪築堤」が、場所性と高く結びついた文化財である「史跡」としての価値が
十分認められる点を考慮し、移設保存の方針を改め現地保存すること

(3)国史跡の指定に向け、国・都・港区などの関係者との協議や調整などの対応を図
ること

 なお、「高輪築堤」は、1996年(平成8)に国史跡に追加指定された新橋横浜間鉄道の遺構である「旧新橋停車場跡」の延長線上にあり、新橋停車場と価値を同じくする貴重な遺構です。そのため、今後は「旧新橋停車場跡」とあわせた保存・活用を行う必要が生じることが想定されます。「旧新橋停車場跡」の国史跡への追加手続きに際しては、所有者であるJR東日本がその文化財的価値を認め、必要な手続きに入り、国史跡に追加指定されています。JR東日本は「高輪築堤」に関しても、「旧新橋停車場跡」と同様の判断と保護措置を取るよう強く要望します。
 もちろん、期限の定まった開発事業を進めていく中での緊急対応となれば、苦慮する場面も多々あるものと推察いたします。その中での、遺構の保存を前提とする、設計変更も含めた開発事業の見直しという判断は、後年、文化財の保存・活用と開発を両立させた事例として大きく評価されるものになるのではないかと考えます。英断を求めます。

 すでに、本年2月16日には、萩生田光一文部科学大臣が現地を視察し、「高輪築堤」を「明治期の近代化を体感できる素晴らしい文化遺産」であると述べ、都市開発の現状に一定の理解を示しながらも、遺構の現地保存との両立を前提とする、国史跡指定の方向性と国の支援に言及しています。この大臣発言は、非常に重要であり、国による「高輪築堤」遺構に対する方針の提示と今後の対応策を示したものと理解いたします。
 万一、交渉が途切れ、歴史上重要な「高輪築堤」が取り除かれるというような事態を招けば、文化財保護行政上の大きな失点にもなりかねません。関連する文部科学省・国土交通省・文化庁、東京都、港区に対しては、「高輪築堤」が有している文化財(史跡)としての本質的価値の高さと、保存の必要性、保護の緊急性という視点から、国史跡の指定にむけて、事業者への助言・調整などを継続的かつ積極的に進めていくことを要望いたします。

2021年2月26日
                            日本歴史学協会

                            秋田近代史研究会
                            大阪歴史学会
                            関東近世史研究会
                            京都民科歴史部会
                            交通史学会
                            専修大学歴史学会
                            総合女性史学会
                            地方史研究協議会
                            中央史学会
                            東京歴史科学研究会委員会
                            東北史学会
                            奈良歴史研究会
                            日本考古学協会埋蔵文化財
                                 保護対策委員会
                            日本史研究会
                            日本風俗史学会
                            文化財保存全国協議会
                            宮城歴史科学研究会
                            明治大学駿台史学会
                            歴史科学協議会
                            歴史学研究会

Fight for Justice緊急オンライン・セミナー もう聞き飽きた!「慰安婦は性奴隷ではない」説 ~ハーバード大学ラムザイヤー教授の歴史修正主義を批判する~

Fight for Justice緊急オンライン・セミナー もう聞き飽きた!「慰安婦は性奴隷ではない」説 ~ハーバード大学ラムザイヤー教授の歴史修正主義を批判する~ published on

 「慰安婦は商行為」「慰安婦は自発的な売春婦」「慰安婦は高収入」「慰安婦は性奴隷ではない」……。これらは、1990年代後半から日本の歴史修正主義者たちによって繰り返し主張され、ことごとく歴史研究者たちによって論破されてきた言説です。ところが昨年12月、「慰安婦」を「自発的な契約による売春婦」であるとする歴史修正主義的な考え方を前提とした論文(Contracting for sex in the Pacific War,「太平洋戦争における性行為契約」)がジョン・マーク・ラムザイヤーというハーバード大学ロースクール教授によって書かれ、この論文の米国学術誌への掲載をめぐって、国際的な批判が広がっています。

 2月には、国境を超えたフェミニストたち1000人以上が同論文を批判する共同声明を出し、続いてハーバード大学の歴史学者をはじめ多くの研究者が、肝心の「契約」に関する証拠や関連文献の提示がなされていないとして、同論文の学問的誠実性の欠落を批判する声明や書簡をあいついで公表しました。一方、日本では産経新聞をはじめとする保守メディアが、韓国でもニューライト(新右派)がこの論文を大々的に擁護しています。

 同教授は、30年前にも「芸娼妓契約」に関する論文を書きましたが、これもまた事実に反する誤謬に満ちたものでした。このほかにも、同教授は在日朝鮮人問題(関東大震災時の虐殺含む)や部落問題に関しても、偏見に満ちた論文を書いたことも指摘されています。

 そこで、日本軍「慰安婦」問題に関する学術的webサイトFight for Justiceは、歴史学研究会・日本史研究会・歴史科学協議会・歴史教育者協議会とともに、日本軍「慰安婦」制度研究の第一人者である吉見義明氏、近代公娼制研究者である小野沢あかね氏に、ラムザイヤー教授の「慰安婦」論はもちろん、「芸娼妓酌婦契約」論に関しても、専門の立場から徹底的に検討・批判するオンライン集会を緊急で開催することにしました。また、この問題にいち早く対抗してきた茶谷さやか氏、さらに研究者の立場から藤永壮氏、板垣竜太氏、米山リサ氏にも発言していただきます。                

 もう聞き飽きた歴史修正主義的言説ではありますが、学術的な批判が聞けるまたとない機会ですので、ぜひご参加ください。

 

【主な内容】

◆茶谷さやか(シンガポール国立大学)

「ラムザイヤー氏「慰安婦」論文をめぐって今いま起きていること」

◆報告

1.吉見義明(中央大学名誉教授/日本軍「慰安婦」研究)報告

 「ラムザイヤー氏「慰安婦」論の何が問題か」

2.小野沢あかね(立教大学/近代日本公制度史研究)報告

 「ラムザイヤー氏「芸娼妓酌婦契約」論の何が問題か」

◆研究者の発言・メッセージ

藤永壮(大阪産業大学)

板垣竜太(同志社大学/Fight for Justice)

米山リサ(トロント大学)

◆抗議声明発表

 

●日時:2021年3月14日(日)14:00~16:30

●参加費:一般1000円、学生500円

●ZOOMウェビナー機能をつかったオンライン(申込み者には後日配信あり)

●申込み方法

 – Peatixで申し込み、決済する

 https://ffjseminar.peatix.com

– 〆切3月13日(土) 13:00 まで(ただし、定員になり次第受付終了)

※ZOOMの表示名は申込時のお名前(フルネーム)にしてください。

●主催: Fight for Justice(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)

●共催:歴史学研究会・日本史研究会・歴史科学協議会・歴史教育者協議会

●協力:梨の木ピースアカデミー(コース12「抵抗の芸術と表現・思想の自由」)

●問合せ:ffjsemi@gmail.com

 サイト:http://fightforjustice.info

 FB:https://www.facebook.com/fightforjustice.info

 Twitter:@FightfJustice

 

【発言者紹介】

●吉見義明

中央大学名誉教授。日本近現代史。Fight for Justice共同代表。日本軍「慰安婦」制度研究の第一人者。著書に『従軍慰安婦資料集』(大月書店)、『従軍慰安婦』(岩波新書)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』 (岩波ブックレット)、『買春する帝国~日本軍「慰安婦」問題の基底』(岩波書店)ほか多数。

 

●小野沢あかね

立教大学文学部史学部教授。日本近現代史・女性史。Fight for Justice運営委員。近代日本の公娼制と日本軍「慰安婦」制度の研究、さらに沖縄の性産業のなかの女性の聞き書きをしてきた。単著に『近代日本社会と公娼制度』(吉川弘文館)、共編著に『性暴力被害を聴くー「慰安婦」から現代の性搾取まで』(岩波書店)、『日本人「慰安婦」』(現代書館)、『「慰安婦」問題を/から考える』(岩波書店)ほか多数。

 

●茶谷さやか(チャタニサヤカ)

コロンビア大学歴史学部国際史博士号取得。現在シンガポール国立大学歴史学部助教授、近現代東アジア史を教える。専門は日本帝国社会史、比較研究方法論、在日コリアンのトランスナショナル社会史。著書にNation-Empire: Ideology and Rural Youth Mobilization in Japan and Its Colonies (日本帝国下の農村動員とイデオロギー)(コーネル大出版、2018年)、その他アメリカ学術誌American Historical Reviewなどにて複数論文発表している。

 

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日本史研究702号(2021年2月)

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2020年度日本史研究会大会特集号

大会テーマ 「転換期」における日本史研究

全大会シンポジウム テーマ「転換期」の天皇・天皇制研究

大会テーマ説明 研究委員会
近世中後期における朝廷文化の広がり 若松正志
敗戦直後の宮内省の天皇制政策
  ―昭和天皇「戦後巡幸」前期(1946年)に焦点をあてて―
瀬畑 源
コメント 鍛治宏介
コメント 茶谷誠一

総会ニュース

部会紹介

部会・委員会ニュース

日本史研究701号(2021年1月)

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研  究

室町幕府奉行人家の存在形態
  ―一族・被官の活動から―
北山 航

研究ノート

入唐僧と刺史の印信
  ―維蠲書状の真意―
坂上康俊

書  評

近藤 剛著『日本高麗関係史』 中村 翼

声  明

日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する人文・社会科学系学協会共同声明(英文掲載)

部会・委員会ニュース

『日本史研究』総目録(601~700号)

1月の事務所運営についてお知らせ

1月の事務所運営についてお知らせ published on

1月の事務所開所時間をお知らせいたします。

     開所:平日10:00~17:00

新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、1月22日(金)・26日(火)の2日間事務所を閉所いたします。

閉所日は電話での御対応ができません。メールおよびFAXの受信は可能ですが、お返事にはお時間がかかる可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。

御迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願い申しあげます。