領主財政を考える
報告: 高野 信治 氏 (九州大学大学院 比較社会文化研究院)
「近世領主財政への一視角―大名財政の公的性格をめぐってー」
下重 清 氏 (東海大学 文学部) 「譜代小田原藩の財政を考える―近世前期を事例に―」
金森 正也 氏(秋田県公文書館) 「化政・天保期における秋田藩の上方調達銀運用と館入」
荒武 賢一朗 氏(東北大学 東北アジア研究センター) 「近世における銀主と領主」
日時:2017年5月13日(土)午後1時~午後6時
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内 文学部新館2階第3講義室
(京都市左京区吉田本町 市バス「京大正門前」または「百万遍」下車)
遅くとも18世紀中期以降、 幕藩領主財政の運営が厳しくなるという点については、大方の共通理解が得られている。その一方で、領主財政が本当に困窮していたのかについて疑問を差し挟む研究も出てきている。特別会計という形で「隠し資産」が存在していることがその論拠であるが、領主階級が領内・ 領外で膨大な資金を調達していたという事実は厳然と存在する。領主はなぜ資金を必要としたのか、収入が不足しているのか、あるいは支出が過大なのか、それは短期的な現象なのか、それとも構造的な問題なのか、といった点について、時代ごとに区分しながら検討を加える必要は依然として残されている。そこで本例会では、これらの点について、藩政史・経済史、 双方の視点から分析を加える。領主財政の困窮原因・使途という古くて新しいテーマについて、藩横断的に再検討を加えることで、近世史研究者に広く参照されるような議論の土台構築を目指したい。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。
お問い合わせは日本史研究会 075-256-9211
「大化改新論の現在」
報告者 石上英一氏「大化改新批判論の提言と律令国家論の展開」
毛利憲一氏(平安女学院大学)「大化改新論と改新詔」
北康宏氏(同志社大学)「推古朝からみた大化改新」
「大化の改新」、特に「改新の詔」の評価をめぐっては、「郡評論争」などを経て『日本書紀』の史料批判が進んだことにより、律令体制の形成において「大化改新」を重要な画期とみない考えが一時通説化していた。しかし、近年、前期難波宮発掘調査の進展や大量の七世紀木簡の出土などにより、「大化改新」の画期性を高く評価する立場が主流となりつつある。そもそも一九六五年度日本史研究会大会において、古代史部会によって提起された「大化改新」像批判は、その出発点において単なる個別実証を超えた歴史認識の問題であり、史料批判の方法論などその後の研究に与えた影響も大きい。そこで、半世紀を経た現在、日本史研究会においてその歴史的意義を改めて史学史的に再検討するとともに、現時点における研究の問題点を考える場としたい。
日時 3月18日(土)13時~17時半
場所 平安女学院大学京都キャンパス室町館4階412教室
(京都市上京区下立売通烏丸西入五町目町 京都市営地下鉄烏丸線丸太町駅下車、徒歩5分)
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。 お問い合わせは日本史研究会075-256-9211
儀礼から見る近世武家社会
報 告:千葉 拓真氏(飯田市歴史研究所) 「近世武家社会における「両敬」」
畑 尚子氏(江戸東京博物館) 「江戸城大奥第三の役割
―祈祷に関わる寺院との儀礼を中心に」
日 時:2017年1月28日(土)午後1時 ~ 午後5時
場 所: 機関紙会館5階大会議室
(京都市上京区新町通り丸太町上ル東側
地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分/市バス府庁前下車すぐ)
政治・社会秩序の形成や更新に寄与する儀礼行為は、将軍・大名、公家・寺社、領民を包摂する形で、広範かつ複合的に行われた。研究史上、年中行事・殿中儀礼・贈答儀礼・冠婚葬祭儀礼などに関する蓄積が見られる一方、近年、将軍家や大名家といった「家」に注目し、その交際実態や、奥向の役割に注目する新たな成果も産み出されている。
本例会では多面化・深化する儀礼研究の動向を踏まえ、二報告を用意した。儀礼そのものの内実・展開はもちろん、儀礼が成立する背景にある近世国家・社会の価値観やメカニズムについても、議論が及べば幸いである。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。 お問い合わせは日本史研究会075-256-9211
11月例会
中世都市論のこれまでとこれから
報告: 高橋慎一朗氏(東京大学史料編纂所) 「中世における「宿」の実像」
報告: 綿貫友子氏(大阪教育大学) 「中世湊津の支配をめぐって」
コメント: 高谷知佳氏(京都大学)
日時: 2016年11月27日(日)午後1時~午後5時半
場所: 京都大学吉田キャンパス本部構内文学部新館2階第3講義室
京都市左京区吉田本町
(市バス「京大正門前」または「百万遍」下車)
網野善彦氏の「中世都市論」は、様々な「都市ないし都市的な場」を、中世前期~後期の長期的なスパンで、かつ中世社会の全構造の中で把握しようとするものであった。その後、個々の「都市ないし都市的な場」や都市類型については数多の研究が蓄積されたが、それら諸都市の歴史的展開や、中世社会における位置づけについては未だ十分な見通しを得られていないように思われる。
そこで今回は、中世都市にかかわる課題を追究してこられた高橋慎一朗氏・綿貫友子氏を招き、中世都市研究の成果と課題を再考する機会としたい。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。
お問い合わせは日本史研究会075-256-9211
2016年9月例会
日 時 9月18日(日) 午後2時~6時
場 所 機関紙会館5階大会議室
(京都市上京区新町通り丸太町上ル東側
地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分
市バス府庁前下車すぐ)
テーマ 「維新変革における儒学と国家」
報告 池田勇太(山口大学)「元田永孚の西洋観と国家像」
奈良勝司(立命館大学)「会沢正志斎の秩序観と幕末政局」
コメント 前田勉(愛知教育大学)
従来、幕末維新期の政治思想は、この時期の政治動向や近代のナショナリズムとの連続・断絶との関係性のなかでしばしば言及されながらも、その政治思想における国家像が正面から論じられることは少なかった。最近の研究はその空白を埋めると同時に、維新変革の理解に対しても新しい展望を開きつつある。特に、儒学的国家像に関する研究の深化は著しく、これまで西洋化として論じられてきた維新変革を、儒教理念の実践として理解するという試みがなされている。それはまた、維新変革を通して実現された「近代」をトータルに捉えなおす試みであると言えるだろう。本例会ではこうした研究動向を踏まえて、会沢正志斎と元田永孚という二人の儒者を事例として、維新期の国家像の特質に迫りたい。
一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。
お問い合わせは、日本史研究会075-256-9211
鎌倉後期~南北朝期における畿内武士社会の諸相
報告: 森 幸夫 氏 (國學院大學) 「鎌倉後期~南北朝期の幕府と畿内武士」
廣田浩治 氏 (泉佐野市教育委員会) 「南北朝内乱期の畿内在地領主と地域」
日時:2016年8月6日(土)午後1時~午後5時
場所:機関紙会館 5階大会議室
京都市上京区新町通り丸太町上ル東側
(地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分 市バス府庁前下車すぐ)
鎌倉後期の畿内では、平安期から経済的先進地域を基盤に活動してきた武士のほか、鎌倉幕府成立後に入部した西遷御家人や六波羅探題に執務した在京人など多彩な武士たちが存在し、固有の社会を築いていた。では、彼ら「畿内武士」たちは、鎌倉後期から南北朝内乱期にかけてどのような動向をみせたのだろうか。本例会では、畿内武士の歴史的位置について、特に鎌倉幕府・六波羅探題による在京人編成と室町幕府による奉公衆編成の連続面・断絶面や、南北朝内乱期の畿内在地領主と地域との関係、さらには悪党の動きにも注目して捉えることを試みたい。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。
お問い合わせは日本史研究会 075-256-9211
東アジア諸国家にとっての「国際戦争」―文禄・慶長の役(壬辰倭乱)―
本年度の大会テーマ「日本史における国家と戦争」と関連させ、近世東アジアにおける戦争を再考する企画として、「文禄・慶長の役(壬辰倭乱)」を取り上げる。「文禄・慶長の役(壬辰倭乱)」は、16世紀に日・朝鮮・明の三国が巻き込まれた戦争であった。近年、韓国では東アジア三国が参加した国際戦争であったことから、「壬辰戦争」という名称が提起されている。戦争の具体的な展開過程や戦後処理問題など多様な分野で、日本・韓国両国で膨大な研究成果が蓄積されている状況である。しかしながら、韓国での研究成果が、日本で十分に取り入れられているかというと、必ずしもそうではない。また、日本での研究成果についても同様のことがいえよう。そこで、本例会では日本と韓国、両国の研究者を招き、近年の韓国での研究成果も踏まえながら、近世国家と戦争の関係について見直す機会としたい。日本・朝鮮、そして明、それぞれにとっての「文禄・慶長の役(壬辰倭乱)」の意味合いを見極めながら、広く16世紀の国際環境を問い直す場になれば幸いである。
報 告:車 惠媛 氏(チャ・ヘウォン、延世大学校、韓国)
「倭冦的状況」と壬辰戦争 ―明朝の反応を中心として― (仮)
米谷 均 氏(早稲田大学)
「壬辰戦争」終結をめぐる日明両国の演出儀礼
―冊封儀礼・施餓鬼供養・献俘棄市―
コメント:池内 敏 氏(名古屋大学)
日 時:2016年7月9日(土)午後1時 ~ 午後5時
場 所:京都大学吉田キャンパス本部構内 文学部 新館2階第3講義室
(京都市左京区吉田本町 市バス「京大正門前」または「百万遍」下車
下記サイトの地図中8番の建物
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ )
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。お問い合わせは日本史研究会075-256-9211
2016年4月例会
「地方利益」論の現在
日本近代史研究において、「地方利益」に関する研究は膨大な蓄積がある。
三谷太一郎や有泉貞夫らの古典的な研究は、現在に至るまで大きな影響力を及ぼし続けている一方、戦後の自民党政治のなかで顕著であった利益誘導型政治を日本近代史に投影させるなど、時代の要請とも無縁ではなかった。三谷や有泉の研究の批判的継承に基づき、その後の「地方利益」に関する研究は分析対象や方法論の点で多様化するとともに、数多くの業績が出されることになった。
現時点において、日本近代史研究における「地方利益」論の現状と課題を確認しておくことは、研究史上のみならず、「地方創生」といった政治スローガンが叫ばれる現代日本の政治と地域・社会との関係を考えるうえで、有効な論点を提示できるものと考える。よって本例会では、「地方利益」論研究の論点整理を試み、今後の研究展望を議論したい。
日時:4月23日(土)14:00~19:00
場所:機関紙会館5F大会議室
報告:松本洋幸氏(大正大学)「近代水道の敷設をめぐる政治史」
稲吉晃氏(新潟大学)「大阪築港の政治史的考察―第一次築港の着手と中断―」
コメント:松下孝昭氏(神戸女子大学)