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ハラスメントのない学会を目指して

 日本史研究会は、自由で民主的な研究・教育の発展に努めるため、所属・立場を問わず開かれた学会活動を行なっています。しかし、ジェンダーバランスの偏りや専門領域における閉鎖性の強い人的ネットワークの存在など、種々のハラスメントが起こりやすい環境にあることも否定しきれません。諸ハラスメントが放置されることは、会員の活動を委縮させることにも繋がり、自由で民主的な研究・教育の発展を阻害するものであります。
 日本史研究会は健全な学会運営を行うために、日本歴史学協会の呼びかけに応じて「歴史学関係学会ハラスメント防止宣言」(2020年制定)に賛同しました。本会はこの防止宣言の内容を胸に刻み、会員と学会活動に関係する人々の権利と尊厳を尊重し、諸ハラスメントのない学会をめざします。

2024年1月20日 日本史研究会

【日本歴史学協会による歴史学関係学会ハラスメント防止宣言】
 一般に、ハラスメントは、性別、性的指向、性自認、社会的身分、人種、民族、国籍、宗教、信条、年齢、職業、学歴・職歴、身体的特徴、障がいの有無など個人の人格にかかわる言動によって、あるいは力関係や優越的地位を利用して個人に不利益・不快感を与え、その尊厳を損なうすべての行為を指します。セクシュアル・ハラスメント、ジェンダー・ハラスメント、パワー・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、レイシャル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、モラル・ハラスメント、アルコール・ハラスメントなど様々なハラスメントはようやく社会的に認知されるようになっています。また、近年ではソーシャルメディアの発達とともに、インターネット上での誹謗中傷も大きな社会問題になっています。ハラスメントを防止することは、個人の人格と人権を尊重することであり、その重要性は学問の世界でも例外ではありません。
 すでに数多くの大学・研究機関では、ハラスメントを防止するためのガイドラインが作成され、改善のための取り組みと、また残念ながらなお数多く発生する様々な事件への対処が行われています。しかし、学問・研究・教育活動は大学・研究機関だけではなく、それらの組織を超えて連携・協同する学会によっても成り立っています。歴史学関係の学会も、大会・例会・シンポジウム・学会誌編集発行などの様々な組織運営活動を通じて、歴史研究者がその研究成果を発表し、互いに議論する場を提供しています。その活動は、大学・研究機関に所属しない歴史研究者によっても、あるいは教育・出版関係など広く社会一般に及ぶ様々な立場の関係者によっても担われています。ハラスメントは被害者の自由な意見表明や研究活動・組織運営活動を萎縮させます。それは民主的で自由・平等を基本とする学会活動の健全な発展を阻害するものです。
 歴史学関係学会は学問の発展のために、ハラスメント防止の取り組みに積極的に協力することが求められるでしょう。本ハラスメント防止宣言に賛同する歴史学関係学会は、歴史学の発展と歴史学関係学会に携わる関係者の人格と人権の尊重のために、各学会会員にハラスメントの防止をよびかけ、啓発活動に取り組み、ハラスメントのない自由闊達で平等な歴史研究・教育活動の実現に努めることをここに宣言します。

2020年7月15日制定

2020年10月16日改定

2021年7月17日改定