2025年6月13日
文化庁長官 都倉俊一 殿
京都府知事 西脇隆俊 殿
京都府教育委員会教育長 前川明範 殿
八幡市長 川田翔子 殿
八幡市教育委員会教育長 川中尚 殿
日本史研究会
橋本陣屋跡の保存に関する要望書
橋本陣屋(現京都府八幡市橋本焼野)は、日本近世・近代の移行期に行われた京都警衛の様相や、幕府と藩、幕府と朝廷との関係性を豊かに示してくれる存在である。幕末には外国船の来航によって対外的危機意識が強くなり、朝廷の所在する京都を警衛する必要性が高まった。その一環として八幡・山崎の警衛を松江藩が担うこととなり、大勢の松江藩士が駐屯するための陣屋として万延元年(1860)頃に完成したのが橋本陣屋である。警衛担当が松江藩から交替した後や、慶応元年(1865)に楠葉台場(現大阪府枚方市)が竣工して八幡等と併せた警衛体制となって以降も、その警衛を担う藩の陣屋とされた。最終的には、慶応4年(1868)の鳥羽伏見の戦いで幕府側の軍事拠点となり、戦火により焼失した。以上のように橋本陣屋は、幕末維新期の政治情勢に深く関わった施設であり、その遺構は日本の歴史を語る史跡として高い重要性をもつ。国史跡である楠葉台場跡との一体性に鑑みても、史跡としての価値は明白である。さらに、去る5月24日に行われた発掘調査結果の現地説明会には地域住民を含む多数の参加者が見られ、社会的な関心も高い。Continue reading 橋本陣屋跡の保存に関する要望書