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国文学研究資料館アーカイブズ研究系の機能維持と充実に関する要望書

国文学研究資料館アーカイブズ研究系は、日本の記録史料が散逸の危機にあった状況において、歴史学界の強い要望・運動のなかで1951年に設置され た文部省史料館を前身とする。史料館は、1972年に国文学研究資料館の附置施設となり、2004年にアーカイブズ研究系となるが、今日まで、日本各地の 近世・近現代の民間史料を中心に、その調査・収集・整理・公開・研究などの面で、大きな役割を果たしてきた。直接収集にあたった史料は50万点以上にのぼ り、『史料館所蔵史料目録』(現『史料目録』)・『史料館叢書』(東京大学出版会)・『史料叢書』(名著出版)などを刊行し、史料の公開も進めてきた。

また、史料管理学やアーカイブズ学の面でも研究成果を発信し、「近世史料取扱講習会」、「史料管理学講習会」、「アーカイブズ・カレッジ」と、長年 にわたり、その普及・教育活動にあたってきた。そこでの受講生は、歴史学以外の分野の者もふくめ、3000名近くにのぼり、この分野で多大な貢献がみられ る。そして、これから必要となるアーカイブズ学の国際的な交流の面においても、また公文書管理法制定の動きに見られるように、ますます重要となる現代の公 文書の取り扱いの問題などの面においても、国文学研究資料館アーカイブズ研究系の果たす役割は、さらに大きくなることが考えられる。

しかしながら、国文学研究資料館では、「アーカイブズ・カレッジ」長期コースの廃止など、アーカイブズ研究系の縮小を進めているという。日本史研究 会は、国文学研究資料館が、これまでアーカイブズ研究系が果たしてきた役割を正しく認識・評価し、同研究系の機能を維持・充実させてしていくことを強く要 望する。具体的には、次の通りである。

1 国文学研究資料館アーカイブズ研究系が、これまで同様、日本各地の近世・近現代史料の収集・整理・研究・公開利用の役割を果たせるよう、十分な 人的配置・予算措置をとること

2 国文学研究資料館アーカイブズ研究系が、これまで同様、日本におけるアーカイブズ学の拠点として、研究・教育活動ができるよう、十分な人的配 置・予算措置をとること

2008年12月1日

人間文化研究機構
機構長 金田 章裕 殿

国文学研究資料館
館長  伊井 春樹 殿

日本史研究会