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2017年7月例会

2017年7月例会 published on

日本史研究会7月例会

テーマ:「性の多様性を紐とく―歴史資料における非規範的な性―」

日 時:7月1日(土)13時~17時(12時半開場)

場 所:平安女学院大学京都キャンパス室町館4階412教室

    (地下鉄烏丸線丸太町駅下車、2番出口から徒歩5分)

報告者:

氏家幹人氏(国立公文書館)

「江戸時代の多様な性愛とセーフティネット」

河原梓水氏(日本学術振興会・特別研究員PD)

「性の告白と戦後日本-「変態性欲」に対する2つの態度-」

 

 近年、LGBTの語がつとに流行し、同性婚の是非が議論されるなど、多様な性愛をとりまく社会状況は大きく変化しつつある。しかしながら日本史学において、異性愛規範から逸脱する多様な性の研究は未だ等閑視されており、かかる現代的課題に歴史学がいかなる寄与をなし得るのか、はかることさえおぼつかないのが現状である。

 同性愛やトランスジェンダー、サドマゾヒズムなど、異性愛規範から逸脱する様々な性愛は、英語圏の人文諸科学及び国内社会学においてはクィアもしくはゲイ・レズビアン・スタディーズとして地位を確立しつつある。特に男性・女性同性愛については1980年代以降、運動・アカデミズムの双方で多くの議論が蓄積され、これまで自明視されてきたさまざまな規範を相対化・転倒させる成果をあげてきた。日本史学界においては、2014年歴研大会において「クィア史」がテーマとして掲げられるに至ったが、研究蓄積は依然として僅少である。

 しかし、研究の手がかりが少ないわけでは決してない。これまで注目されてこなかったものの、史料上には多様な性愛に関する記載は豊富に存在する。これらに光を当てることは、単に性の領域にとどまらず、各時代の社会像をとらえ直す契機ともなるであろう。したがって本例会は、史料に即して多様な性愛の歴史的なありようを検討し、日本史学においてかかる研究領域がいかなる可能性を持つのかを議論する場としたい。