2016年3月例会
「時代考証と歴史学」
一般に「歴史」と聞いて、NHK大河ドラマや連続テレビ小説(朝ドラ)といった時代劇を思い浮かべる人は多い。それでは、人口に膾炙したそのような時代劇 は、いかなる検証作業を経て作成され、学術研究という営みとどのように結び付くのであろうか。ここでは、近年の時代考証の現場に多く立ち会われた大石学氏 から、【歴史学などの学術成果が、どのような形でドラマなどに反映されるか】、【時代考証の経験・視角を、新たな学術成果に繋げることは可能か】といった 点について、体験を基にお話いただく。宮本又郎氏によるコメントと併せて、広く、学問と社会の関係といった点にまで議論が及べば幸いである。
日時 3月6日(日) 午後2時~午後5時
場所 京都大学吉田キャンパス本部構内 文学部新館2階第3講義室
(京都市左京区吉田本町市バス「京大正門前」または「百万遍」下車)
報告 大石 学 氏 (東京学芸大学)
「時代考証と歴史学」
コメント 宮本 又郎 氏 (大阪大学・関西学院大学・放送大学)
「大石報告へのコメント―朝ドラ「あさが来た」時代考証の経験から―」
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。
お問い合わせは、日本史研究会 075-256-9211
2015年12月例会
「古代の生産・流通と国家・社会編成」
日 時 |
12月27日(日) 午後1時~5時 |
会 場 |
京都大学吉田キャンパス本部構内
文学部新館2階第3講義室
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(京都市左京区吉田本町
市バス「京大正門前」または「百万遍」下車)
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報 告
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菱田 哲郎氏(京都府立大学) |
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「5・6世紀の手工業生産と王権」 |
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古尾谷知浩氏(名古屋大学) |
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「古代の木器生産」 |
戦後の古代史研究においては、「土台」である生産や流通といった視角からの研究が、長らく重要な位置を占めてきた。それは何も正倉院文書といった史料に向き合ってきた文献史学ばかりでなく、史料が少ないとされる古代において、かかる問題関心への接近を得意とする考古学においても同様であった。
しかし、考古学では今日までに様々な、そして重要な生産拠点遺跡の発掘・整理とそれに関する検討などが進む一方で、ここ十数年来の古代史研究では、生産・流通をテーマとする研究は、やや停滞している観が否めない。
そこで本例会では、改めて「生産と流通」をテーマに取り上げ、文献・考古の双方から再検討することとした。これを当該分野の再活性化の起点としていければと思う。
一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。
お問い合わせは、日本史研究会(075)256-9211
日本史研究会創立70周年記念 講演会・祝賀会
本会は2015年11月をもちまして設立70周年を迎えます。このたび70周年を記念しまして、以下の記念講演会を行います。この10年間の会活動をふりかえるとともに、本会の今後の活動についても考える機会にしたいと考えております。みなさま是非ご参集下さい。
日時:11月8日(日) 14時~
場所:立命館大学朱雀キャンパス
講演 高橋昌明氏「日本史研究会の歴史と私たちの課題」
山田邦和氏「陵墓研究の現状と陵墓公開運動」
懇親会 同キャンパス内TAWAWA二条店(有職者4500円/有職者以外3000円)
一般来聴歓迎、予約不要
◇◆会場までの交通案内◆◇
・市バス・JRバス 千本三条・朱雀立命館前下車
・JR・地下鉄二条駅より徒歩約2分
・阪急大宮駅より徒歩約10分
※ 駐車場・駐輪場はございませんので、公共交通機関でお越し下さい。
「環境史研究の可能性」
日時 9月20日(日) 午後2時~6時
場所 京都大学 吉田キャンパス 文学部新館2階第3講義室
市バス「京大正門前」または「百万遍」下車
(下記サイトの地図中8番の建物http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/)
基調報告 橋本 道範 氏 (滋賀県立琵琶湖博物館)「地域環境史の課題」
コメント 木村 茂光 氏 (帝京大学)「橋本道範著『日本中世の環境と村落』から環境史・生業論を考える」
近年の日本中世史研究では、自然環境の規定性を改めて問い直す動向が広まりつつある。かかる動向は「環境史」と一括りにされることが多いが、その目的・方向性は未だ錯綜した状況にあるといえる。
こうした中、橋本道範氏の著書『日本中世の環境と村落』が上梓された。氏は、人間が自然を克服していく「開発史」的な視座からいったん離れ、自然の主体性と人間の自然への働きかけ(生業論)をともに軸に据えた新たな歴史像を構築する必要を提唱している。
本例会では、著書での提起を踏まえて環境史の今後を展望する橋本氏の報告、さらには同書の書評を兼ねた木村茂光氏のコメントを通じて、環境史研究の可能性を探ることを試みたい。
2015年8月例会
「近世日本人にとっての異国」
報告者と論題:
有坂 道子 氏 (京都橘大学)「文人の異国情報交流」
小田 真裕 氏 (大倉精神文化研究所)「藩地域の国学と異国情報」
日時:2015年8月1日(土)午後1時~午後5時
場所:
京都大学吉田キャンパス本部構内 総合研究2号館地下1階第8講義室
(京都市左京区吉田本町 市バス「京大正門前」または「百万遍」下車
下記サイトの地図中34番の建物http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/m)
近年、江戸時代の特定の個人・集団がいかなる異国情報を入手し、ときに異国認識を形成するに至ったかについて、研究が進みつつある。むろん、彼らは特定の価値観にもとづき、それぞれの異国認識を持ったはずであるが、その認識が同時代の普遍的な社会情勢に根ざしているのも事実であろう。本例会では、あくまで趣味に徹して異国文物の収集・交換に努めた文人と、憂国や藩経営の文脈から異国に執着、ないしあえて身を離した国学の徒らを事例に、近世日本人の異国認識の実相、ないしその特質に迫りたい。好奇心、憧れ、そして無視、警戒、反発、これらがいずれも近世日本人が異国に向けた眼差しの一端であったとするならば、そのような複数の眼差しが交差しえた近世という時代をどのように理解したらよいだろうか。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。お問い合わせは日本史研究会 075-256-9211
2015年5月例会
「いま、デモクラシーを考える―松尾尊兊氏の研究の批判的継承のために―」
日時:2015年5月17日(日) 13:00~17:00
場所:機関紙会館5階大会議室
京都市上京区新町通り丸太町上ル東側
(地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分 市バス府庁前下車すぐ)
報告者と報告タイトル
有馬学氏(福岡市立博物館)
「デモクラシー・社会主義・ナショナリズム―蠟山政道の1920~30年代―」
竹永三男氏(島根大学)
「21世紀の松尾史学―松尾尊兊氏の大正デモクラシー史論と現代の民主主義―」(仮)
1970年代から90年代にかけて、松尾尊兊氏や三谷太一郎氏らを中心に「大正デモクラシー」をキー概念とした日本近現代史研究が進展した。2000年代以降、それらを中心に据えた研究は減少傾向にあるものの、デモクラシーや「大正デモクラシー」に関する議論が充分に尽くされた訳ではないだろう。とりわけ日露戦後や昭和戦前期におけるデモクラシーのありよう、もしくはデモクラシーとナショナリズムなどの関連する思想との関係を議論することは歴史研究のみならず、現代的な諸問題に寄与するところも大きい。民主主義をめぐる様々な主張や議論が存在する今、デモクラシーを歴史的に再検討することが求められているのはないだろうか。
そこで本例会では「大正デモクラシー論」の成果を整理したうえで、近代のデモクラシーに関する多様な言説の存在を理解し、それらが「帝国」や「地域」とどのように関係していたのかということを考えるための新たな視座を提供したい。
「古気候学データとの比較による歴史分析の可能性」
日時 4月25日(土)13:00~18:00
場所 京都大学吉田キャンパス本部構内 文学部新館2階第3講義室(京都市左京区吉田本町)
市バス「京大正門前」または「百万遍」下車
(下記サイトの地図中8番の建物
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/)
報告 中塚 武 氏 (総合地球環境学研究所教授 同位体地球化学・古気候学)
「樹木年輪による高分解能古気候復元の現状と新しい歴史学研究の可能性」
田村 憲美 氏 (別府大学文学部教授 歴史学 〈日本中世史〉)
「日本中世史研究と古気候復元」
鎌谷 かおる 氏 (総合地球環境学研究所プロジェクト研究員 歴史学〈日本近世史〉)
「日本近世における「年貢」上納と気候変動」
近年、日本列島での災害の頻発を受け、自然と人間の関係を歴史的に研究する重要性が増しており、諸分野で研究が進められている。とくに自然科学では、高分解能の気候復元が可能になっている。中塚武氏は、年輪セルロース酸素同位体比による年代測定や降水量復元から過去の気候変動を解明し、それに対する社会応答の在り方を解析している。本例会では、そうした古気候学の最新データと手法を知り、それらと歴史資料をいかに組み合わせて新知見を提示しうるのかを考えたい。
入場無料。一般来聴歓迎。
お問い合わせ 日本史研究会 (075)256-9211
「10・11世紀の在地社会を考える」
日時 |
2015年3月29日(日)10時30分~17時 |
場所 |
池坊短期大学 美心館5階52教室(京都市下京区四条室町)
京都市営地下鉄烏丸線「四条駅」下車 26番出口より西へ徒歩2分
阪急「烏丸駅」下車 26番出口より西へ徒歩2分
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報告者 |
佐藤 泰弘 氏(甲南大学)「摂関期の在地社会―受領・郡司・負名―」 |
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小原 嘉記 氏(中京大学)「荘園制論からみた摂関期の地方支配」 |
コメント |
坂上 康俊 氏(九州大学) |
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佐藤 全敏 氏(信州大学) |
かつて戸田芳実が領主制の成立について論じたように、平安時代の研究では、列島社会の古代中世移行過程を解明することが中心的課題であった。その後研究は政務や儀式、国家財政などの方向に主軸を移し実証的研究を積み重ねてきたが、在地社会の研究は必ずしも活発とは言えない。そこで今回は1990年代以降に展開した研究をふまえ、あらためて在地社会を取り上げ、今後の研究の活性化を期したい。
入場無料。一般来聴歓迎。
お問い合わせ 日本史研究会 (075)256-9211
「15~17世紀の社会変動」
15~17世紀を大きな時代の転換期として捉える中近世移行期研究は、従来の時代区分の通念に縛られない視野の広さや、「自力の村」への着目をその基軸とし、豊富な蓄積を生んできた。しかし、こうした視角が出されてから30年が経った今となっては、新たな論点が提起されにくいといった問題も指摘されており、そこで提示された枠組み自体の再検討を必要とする時期にさしかかっているといえよう。
よって、本例会では、一旦その枠を取り払い、改めて隣接する中世後期や近世前期を扱った研究の諸論点との接合をはかる。そして、村落の内だけではなく外へも視野を広げ、これまでは捨象されてきた諸階層の動向にも注目することによって、当該期の社会変動の実相を捉える新たな視座を提示したい。
入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。
お問い合わせは日本史研究会 075-256-9211
12月例会
「仮名文字といろは歌をめぐる諸問題―変体仮名の成立とその集約―」
日時: 2014年12月13日(土) 11時 ~17時
場所: 京都教育大学 藤森学舎 共通講義棟F16講義室
京都市伏見区深草藤森町一番地 JR奈良線「藤森駅」下車 徒歩約3分
京阪本線「墨染駅」下車 徒歩約7分
報告者
矢田 勉 氏(国語学・大阪大学)
「蓄蔵される記号としての文字史から消費される
記号としての文字史へ―仮名墨書土器の発見と文字史観の再検討―」
山田 健三 氏 (国語学・信州大学)
「「成立期の仮名」をめぐる日本語書記システム史上の諸問題」
吉崎 伸 氏 (考古学・京都市埋蔵文化財研究所)
「堀河院出土の「いろは歌」墨書土器」
新名 強 氏 (考古学・斎宮歴史博物館)
「斎宮跡出土の仮名墨書土器」
丸川 義広 氏 (考古学・京都市考古資料館)
「藤原良相邸出土の仮名墨書土器について」
コメント
鈴木 景二 氏(日本古代史・富山大学)
近年、仮名文字の書き記された墨書土器が相次いで発見され、さまざまな歴史的評価が与えられている。その際に重要なのは、文献史学・国語学・考古学などの関係諸学が固有の方法に従って自律的に分析し、その結果を謙虚に突き合わせる開かれた議論がなされることであろう。今回は国語学と考古学の最新かつ厳密な知見をご報告いただき、この問題を学際的に考えていくきっかけとしたい。
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入場無料。一般来聴歓迎。 お問い合わせ 日本史研究会 (075)256-9211
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