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日本史研究会3月例会

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□3月例会「近世寺社参詣の諸相」

日時:3月30日(土)13時~17時
場所:京都大学文学部第7講義室
(市バス「京大正門前」または「百万遍」下車すぐ)
報告:
佐藤 顕 氏(和歌山市立博物館)「紀州藩領寺社の宗教活動と参詣者-道成寺・淡嶋神社を中心に-」
塚本 明 氏(三重大学)「近世の巡礼文化と地域社会-熊野街道沿いの史料から-」

 近世の寺社参詣をめぐる研究には豊富な蓄積があるが、近年になってより多彩な論点が出されるに至っている。かつて当該分野では、近世になると旅の大衆化および行楽への傾斜がみられるとされてきたのに対し、参詣者を迎える寺社の視点から、旅行者と宗教・信仰の問題を問い直す試みがなされている。また、旅の盛行に付随して地域社会が抱え込んだ諸種の問題についても、いわゆる地域社会論の進展と重なって、注目が集まっている。
 本例会は、こうした成果を踏まえて、改めて地域の視点を重視し、寺社参詣に関連する様々な要素を議論の俎上に乗せることを試みるものである。紀州地域を舞台に、参詣者と寺社の宗教活動や村々との関係に焦点を当てる。様々な視点から意見が出され、寺社参詣を糸口に、近世社会や地域史を論じる方法を模索する場としたい。

一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。
問い合わせは、日本史研究会075-256-9211

日本史研究会12月例会

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「在地首長制論の行方」

日時 12月23日(日) 午後1時~6時

場所 京都大学吉田キャンパス本部構内

文学部新館2階第3講義室

(市バス「京大正門前」または「百万遍」下車すぐ)

 

報 告  服部一隆氏「律令公民制の実態と在地首長制」

磐下 徹氏「郡司と在地首長」

関連報告 栁田甫氏 「畿内政権論と在地首長制論

―史学史的視点から―」

コメント 石村智氏

 

1970年代初頭に提起された在地首長制論は、以後の研究に大きなインパクトを与えた。例えば在地首長制論を批判的に継承する研究の流れからは、村落首長制論が提起されるに至った。他方、日本史研究会古代史部会では1970年代後半以降、在地首長制論批判が展開されてきた。現在は在地首長制論が提起されてから既に40年以上が経過しているが、それに代わるような理論は未だにあらわれていない。近年、在地首長制をめぐる議論はやや低調になった感もあるが、この間に精緻な実証的研究は着実に積み重ねられている。また、在地首長制論が参照した人類学の研究も大きく進展しており、首長制の概念そのものも見直されている。こうした研究状況に鑑み、本例会では、今後いかに在地首長制論を継承・発展させていくべきか、あるいはそれに代わる理論を構築するべきかを模索するべく、議論を深めたい。

 

一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。

お問い合わせは、日本史研究会 075(256)9211

日本史研究会9月例会

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「アーカイブズの現場—地域史料と普及の側面から—」
日  時 2018年9月22日(土)14:30〜18:00

場  所 機関紙会館5階 大会議室(京都市上京区新町通り丸太町上ル東側)

    (地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分、市バス府庁前下車すぐ)

報  告 西向宏介氏(広島県立文書館)「文書館と地域史料(仮)」

      柳沢芙美子氏(福井県文書館) 「福井県文書館の情報提供と利用“普及”―県民・研究者・まだ見ぬ利用者へ―」

コメント 井口和起氏(福知山公立大学)

 


 2011年から施行された公文書管理法以後、各自治体においては、公文書管理条例の制定や、公文書館の設置が進められるなど、公文書を取り巻く状況に大きな変化が見られる。
 しかし、千葉県文書館問題に見られるとおり、歴史的公文書の保存・公開も含めた運用面では様々な課題が明らかになってきており、歴史学、アーカイブズ学、保存科学など、多分野間で協力しながら向き合うことが社会的に求められている。そしてこの間、東日本大震災の被災歴史資料保全活動や特定秘密保護法反対の取り組みなどを通じて、歴史学とアーカイブズ学との対話の手がかりは着実に積み重ねられている。
 そこで本例会においては、まずは文書館事業の諸局面を学び、そこから歴史学の役割を展望することを目指したい。

 

一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。

お問い合わせは、日本史研究会075-256-9211

 

 

 

日本史研究会2018年8月例会

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日本史研究会2018年8月例会「中近世移行期」研究を捉え直す

日 時  8月5日(日) 午後1時~6時

場 所  京都大学文学部新館2階第3講義室(京都市左京区吉田本町)
     市バス「京大正門前」または「百万遍」下車すぐ

報 告  高木純一氏「移行期村落論・自力の村論の課題」

     新谷和之氏「戦国期地域権力論からみた畿内・近国」

     川元奈々氏「戦国期室町幕府と畿内政権―細川・三好・織田―」

     谷 徹也氏「近世国家への統合をめぐって」

 

 1980年代半ばに提起された「中近世移行期」論は大きなインパクトを持ち、30年余りが経過した現時点でも、同語を冠した論考が数多く発表されている。しかし、豊かな研究成果が蓄積されるにしたがって、かえって中近世の移行そのものを問おうとする姿勢は後退しているようにも感じられる。同語が単なる“枕詞”と化してしまわないために、パラダイム転換とも評されたこの研究視角の意義をいま一度捉え直し、今後の方向性を模索していく必要があるだろう。

 以上の関心に基づき本例会では、村落・戦国大名・織豊政権など、「中近世移行期」研究を構成する主要なテーマ群について、その研究史・研究状況を整理して課題を抽出し、具体的な事例も交えつつ提言を行ないたい。報告者はいずれも畿内地域に基盤を据えて精力的に研究を進めている若手研究者であり、各報告からは、当該研究が抱える諸課題の解決においてこの地域が持つ有効性が浮かび上がってくるはずである。

 

一般来聴歓迎。予約不要。入場無料。

お問い合わせは、日本史研究会075-256-9211

日本史研究会4月例会

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「地域史としての京都史」

日時 4月22日(日)午後1時~5時  

会場 機関紙会館5階大会議室

  京都市上京区新町通り丸太町上ル東側

  (地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分、市バス府庁前下車すぐ)

 

 吉野秋二(京都産業大学)  「「上京」と出雲寺・御霊神社―平安京近郊の地域形成―」

 三枝暁子(東京大学)  「西之京の歴史と現在―フィールドワークで学ぶ地域史―」

 小林丈広(同志社大学)  「歴史学をめぐる現場と公共性」

 

本年度、日本史研究会では、秋の大会で「総合史としての地域史」をテーマとする全体会シンポジウムを企画し、準備を進めている。博物館・資料館、自治体史編さんといった現場を意識し、地域史を全体的・通時代的に復原するための方法を、文献史学の立場から追究するものである。京都を地域史の実験場と位置づけ、社会の側に視点を置いて地域の歴史的性格を考察する。本例会は、大会シンポの第1回準備会として企画したものである。多数のご来聴を期待している

 

入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。

問い合わせは、日本史研究会 (075)-256-9211

2018年1月例会

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近世市場と地域海運勢力

報告:原 直史氏(新潟大学)「全国流通と卸売市場-魚肥を中心に-」

吉野 健一氏(京都府立丹後郷土資料館)「丹後廻船の成立と展開」

日時:2018年1月27日(土)午後1時~午後5時

場所:機関紙会館5階 (京都市上京区新町通丸太町上る春帯町350)

 近世期には流通機構が大きく発展し、大坂をはじめ各地に市場が設けられた。これまで内海船や北前船といった地域海運勢力の研究が集中的に進められ、流通史研究を牽引してきた。また近年、魚肥をはじめとする専門市場について、大坂などの市場を支える流通や担い手の動向といった点と絡めつつ、研究が進展している。ここでは北前船を中心とした流通機構と市場を総合的に捉えるべく、全国市場と丹後の廻船勢力という、異なる立場からの二報告を準備した。流通・経済のみならず、都市や地域社会の視座などからも活発な討論を期待したい。

入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。

お問い合わせは日本史研究会(075-256-9211)まで。

2017年12月例会

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「国風文化」を考える

 

報告:榎本 淳一氏(大正大学) 「「国風文化」における漢と鄙」

   藤原 克己氏(東京大学) 「国風文化の形成と成熟」

コメント:西本 昌弘氏(関西大学)

 

日時:2017年12月23日(土)午後1時~午後5時

場所:京都大学本部構内 文学部新館2階第3講義室

本部構内マップ( http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ )

のうち8番の建物

 

 いわゆる「国風文化」と呼ばれる、10世紀から11世紀特有の文化については、これまで日本史学・国文学・美術史学など幅広い学問領域から研究が重ねられ、成果が蓄積されてきた。しかし、「国風文化」という存在に対して与える定義や概念の有効性など、その評価に関してはいまだに意見の一致をみておらず、文化の豊かな実態が明らかにされる一方で総体的な理解が難しくなっている。

 本例会では、日本史学の分野から榎本淳一氏、国文学の分野から藤原克己氏の二名を招き、併せて西本昌弘氏のコメントを頂く。「国風文化」研究を牽引してきた研究者たちによる最新の見解を聞き議論することで、理解の深化をはかりたい。

 

入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。

お問い合わせは日本史研究会(075‐256-9211)まで

2017年11月例会

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大衆消費と天皇・皇室―大正・昭和戦前期を事例として

報告 右田裕規

「「御大典」を〈見る〉人びと―大正・昭和大礼の視覚的商品化における反ナショナリズム論的契機」

報告 古川隆久

   「紀元2600年奉祝をめぐって―「皇室ブランド」を中心に―」

コメント 河西秀哉

日時 2017年11月19日(日)午後1時30分~5時30分

場所 京都大学本部構内 人文科学研究所本館4階大会議室

   (京都市左京区吉田本町

京都市バス「京大農学部前」下車すぐ、「百万遍」下車後東へ、本部キャンパス北門入って右手http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/zinbun/access/access.htm

 現代日本では、天皇・皇室への好感を示す層が徐々に増加していることは各種世論調査から明らかにされている。高度に資本制が発達した現代社会を支配する、効率優先・経済至上主義の論理と天皇・皇室の「受容」とはいかに結びつくのか。一般に大衆消費が拡大かつ細分化すればするほど、人びとの関心は拡散していくが、そのような中で天皇・皇室はいかに生き残ってきたのか。本例会は、これまで多様なアプローチにより、人びとの天皇・皇室に対する「受容」のあり方や論理の解明を試みてきた日本近現代史の立場から、上記の問題を考えるものである。

 日本近現代史では、人びとの消費行為と天皇・皇室に対する認識を考える研究が一つの領域を形成してきた。特に、近年の経済史において大衆消費社会の萌芽が見られたとされる大正後期から昭和初期にかけての天皇・皇室をめぐる人びとの消費と認識に関する研究の進展は目覚ましい。本例会では、当該分野を牽引してこられた古川隆久氏・右田裕規氏をお招きし、大正・昭和期における皇室の祝典に焦点を当て、人びとによる天皇・皇室「受容」のあり方を考えていきたい。戦前以上に資本制が高度に発達し、拡大・複雑化した大衆消費社会である戦後~現在の視点から論評いただくのは、近年象徴天皇制に関して精力的に研究されている河西秀哉氏である。本例会は、天皇の退位を間近に控え、現代の天皇・皇室をめぐる議論が活発化する中で、歴史学から一つの材料を提供する試みでもある。

 

一般来場歓迎。予約不要。入場無料。

 

お問合せは、日本史研究会(0752589211まで

2017年9月例会

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室町期荘園制と惣村

報告: 西谷 正浩 「室町時代の畿内村落─山城国上久世荘の場合」

報告: 辰田 芳雄 氏 「中間地域荘園の惣村の特徴―主に新見荘の「惣請」と年貢送進」

日時:2017年9月2日(土)午後1時~午後5時

場所:機関紙会館 5階大会議室

京都市上京区新町通り丸太町上ル東側

 (地下鉄丸太町駅下車2番出口より西へ徒歩5分 市バス府庁前下車すぐ)

 

 いわゆる室町期荘園制論の提起により、中世後期は荘園制の解体期ではなく、再編維持された荘園制が依然として社会の基軸をなしていた時代として理解されるにいたっている。このことは、静態的な村落論と批判されて久しい自力の村論・移行期村落論を克服し、時代相応の起伏に富んだ村落の歴史的展開を描き出していくうえで重要な足がかりとなる。とりわけ“惣村”の豊かな実像を提供してきた畿内近国の村々が、ながく室町期荘園制のもとにあり、そこで育まれたものであったことは、地域差の問題を考えるうえでも重要な論点となろう。

 しかし、惣村と室町期荘園制との関係については、すでにいくつかの重要な問題提起がなされているものの、この点に自覚的な実証研究が不足していることもあり、いまだ明確な像を結ぶにはいたっていないというのが現状であるように思われる。そこで本例会では、当該研究を主導してこられた西谷正浩氏・辰田芳雄氏をお招きし、両氏のこれまでの研究成果を改めて室町期荘園制との関係において再論いただくことで、上記論点の具体化・活性化を図りたい。

 

入場無料。一般来聴歓迎。予約不要。

お問い合わせは日本史研究会(075-256-9211)まで

2017年7月例会

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日本史研究会7月例会

テーマ:「性の多様性を紐とく―歴史資料における非規範的な性―」

日 時:7月1日(土)13時~17時(12時半開場)

場 所:平安女学院大学京都キャンパス室町館4階412教室

    (地下鉄烏丸線丸太町駅下車、2番出口から徒歩5分)

報告者:

氏家幹人氏(国立公文書館)

「江戸時代の多様な性愛とセーフティネット」

河原梓水氏(日本学術振興会・特別研究員PD)

「性の告白と戦後日本-「変態性欲」に対する2つの態度-」

 

 近年、LGBTの語がつとに流行し、同性婚の是非が議論されるなど、多様な性愛をとりまく社会状況は大きく変化しつつある。しかしながら日本史学において、異性愛規範から逸脱する多様な性の研究は未だ等閑視されており、かかる現代的課題に歴史学がいかなる寄与をなし得るのか、はかることさえおぼつかないのが現状である。

 同性愛やトランスジェンダー、サドマゾヒズムなど、異性愛規範から逸脱する様々な性愛は、英語圏の人文諸科学及び国内社会学においてはクィアもしくはゲイ・レズビアン・スタディーズとして地位を確立しつつある。特に男性・女性同性愛については1980年代以降、運動・アカデミズムの双方で多くの議論が蓄積され、これまで自明視されてきたさまざまな規範を相対化・転倒させる成果をあげてきた。日本史学界においては、2014年歴研大会において「クィア史」がテーマとして掲げられるに至ったが、研究蓄積は依然として僅少である。

 しかし、研究の手がかりが少ないわけでは決してない。これまで注目されてこなかったものの、史料上には多様な性愛に関する記載は豊富に存在する。これらに光を当てることは、単に性の領域にとどまらず、各時代の社会像をとらえ直す契機ともなるであろう。したがって本例会は、史料に即して多様な性愛の歴史的なありようを検討し、日本史学においてかかる研究領域がいかなる可能性を持つのかを議論する場としたい。